若手社員が上司の言動に深く傷つき、パフォーマンスが下がったり、メンタルがやられたり、退職してしまう・・・そんな事例が様々な組織の中で、多々起こっています。
そして、上司に悪気がない場合がほとんどなのです。
悪気がないのに、これから戦力に育って欲しい、やる気ある若手が潰れていくのは、本当に切ない事ですよね。どうしたらいいのでしょう?
①なぜそういう事が起こるのか?若手側の要因
②なぜそういう事が起こるのか?上司側の要因
③上司の言動に深く傷つき振り回される人への対応
この3つのトピックスに分けて解説します。
①なぜそういう事が起こるのか?若手側の要因
若手の中には、まだ社会経験が浅いため、言葉を全て真に受けてしまう事がよくあります。「この人はこういうふうに考えるのだな」というような『一つの視点』として聞くことが難しいのです。
自分を責める癖のある人や、自信がない人などは特にその傾向があると思います。
一方で、やる気のある、成長欲の強い人も、言葉を真剣に聞こうとして、心に全部届いてしまい、傷ついてしまうという場合もあります。
もちろん、若手であっても『一つの視点』で聞く事ができる人、言われたことを『いいとこ取り』して糧にできる人も多いです。
だから、若手だから中堅だから、と括って話はできません。
ただ人の言葉に傷つきやすく、それによって自分の行動が左右されてしまう若手の要因の一つに、このような事が挙げられます。
②なぜそういう事が起こるのか?上司側の要因
上司側の要因は多岐にわたります。
どれも『悪気』がないのが切ないです。
◎若手の成長を願う情熱が厳しい言葉になってしまう。
◎自分も叱られて(厳しくされて)育ってきたから、同じように(良かれと思って)部下にも接している。
◎部下への対応がわからないから、つい厳しくしてしまう。
◎厳しくしないと育たないと信じて、もしくはリーダーの役割だと思って、厳しく接している。
◎ストレスが溜まっていて、それが無意識に出ている。(部下への指導時、話し始めると止めることができないなど)
その他etc・・・
このように、全く悪気がなく情熱もあるために、なかなか自覚ができない、もしくは自覚できても、どうしたらいいのか分からず『習慣』を変えられない。ということが上司側の要因です。
③上司の言動に深く傷つき振り回される人への対応
まずは、若手の話を『傾聴する』事が最も大事です。
上司が傾聴するのが望ましいですが、もし難しければ、他のリーダーや先輩部下、同僚でも大丈夫。
この『傾聴』というのは、ただ聞くということではありません。
重要なのは『ありのまま受容しながら全てを聴く』という事です。
実は、本当の意味でこれができるだけで、問題が全て解決することもあるくらいパワフルな力を持つ『聴き方』ですが、家庭や学校や社会で、教わってきている人がほとんどいないという現状です。
『やり方を誰も知らない』
『その習慣がない』
これこそが、問題です。
でも、そんなことを言っても始まらないので、そこに気づいた方から『傾聴』を始めましょう。
私が伝えている『傾聴』は、もしかしたら一般的に言われていることとは違うかもしれません。
なぜなら「本当には理解しなくてもいい!」「本当には聞いていなくてもいい!」という聴き方だからです。
共感しながら聞かない方がいいのです。
もちろん、自然に共感できる部分はいいのですが、共感できない部分は必ずありますよね!自分とは違う人間なのですから。
『ありのまま受容しながら全てを聴く』
というのは、相手の言葉をただ「あぁ、あなたはそう思って(感じて)いるのね。」と、ただ、ただ、ありのまま聞いていくのです。
そして、何を言っているのか言葉の意味がわからない時は質問して、相手が言いたいことを明確にしていきます。
相手が何を伝えようとしているのかを明確にする聴き方です。
こちらの共感や考えは関係ないのです。
また「そんな考えは甘いよ」「もっとこうすればいいんじゃない?」などのジャッジやアドバイスも不要です。
まずは、相手が何を伝えたいのか、そして特に『感情』を明確にしていく作業です。
私が言う『傾聴』と言うのは、そう言う意味です。
相手が「伝えたいことが、自分の感情が・・・伝わった!」と言う安心感を得るまで聴く。
それは5分かもしれないし、3時間かかるかもしれません。
相手の心が安定(安心)するまで、です。
それができたら、やっと「それで、あなたはどうしたいの?」と問う。
どうしたいのか分かっていない場合が多いので、そこを一緒に考える。
傾聴する前に「あなたはどうしたいの?」と聞いても、心が不安定で考えがまとまらないことが多いのです。
だから、心を安定させるために、まずは、全部聴く!次に、どうしたいか?を明確にする。
自分がどうしたいのか?が、明確になったら、そのために何ができるのか?を言語化していきます。
自分の目的や目標が明確になれば、人からの言葉に振り回されず(その瞬間は傷ついたとしても)、一つの視点と捉えたり、糧にすることができるようになります。
生きていれば、色々な人と出会います。いちいち傷ついて振り回されていたら大変です。
どんな人と出会っても自分の成長につなげる。
そのプロセスを伴奏するために、まずは傾聴が一番最初にするべきことです。
ここでいう傾聴は『ありのまま受容しながら全てを聴く』と言うこと。
私もまだまだ未熟ですので修行の日々です。
未熟ながらも実践すると、目の前に人の成長や成果に貢献できます。
未熟でも大丈夫!ぜひ『ありのまま受容しながら全てを聴く』を実践してみてください。
若手社員が上司の言動に深く傷つき、パフォーマンスが下がったり、メンタルがやられたり、退職してしまう・・・そう言うことが減っていくことを実感していただけると思います。