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深山 敏郎

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第61回 経営者のレジリエンス(11)経営者の陥りやすい錯覚②

2022/08/16

前回は、経営者のレジリエンス(10)経営者の陥りやすい錯覚①でした。
主に感覚器官の錯覚について考えてみました。

今回は、「経営者の陥りやすい錯覚②」、具体的には「思考に由来する錯覚」というテーマです。
経営者とはここでは起業家、事業承継者、雇われて経営を任されている人のすべてを含みます。

経営者がどのような視点でものごとを考えて、判断し、問題を解決に導くのかということは、経営者のレジリエンスそのものと言ってよいでしょう。そうした中で陥りやすい錯覚を先回に続いて解説します。

経営者の思い込みに由来する錯覚の主なもの

経営者の陥りやすい錯覚は大きく分けて、
①五感に由来する錯覚、
②思考に由来する錯覚(つまり思い込み)
に分けて考えられます。

先回は、①五感に由来する錯覚を取り扱いました。
今回は思考の領域、具体的には思い込みに由来する錯覚について考えます。

10円玉と両国国技館の住所「横網」

思い込みは誰にでもあります。
私がよく使う事例では、次のようなものが挙げられます。

①10円玉を、実物を見ないで描いていただく(表面あるいは裏面。横から見た一直線はこの場合除外する)
②両国国技館の住所「東京都墨田区横網1丁目」を口に出して読んでいただく

上記の内、①に関しては表面でも裏面でも良いと伝えます。
宜しければ、試しに紙に描いてから以下をお読みください。

造幣局が便宜上表面としている面には、宇治の平等院鳳凰堂が描かれています。
そのほかに、日本国という文字と十円という文字が描かれています。

さて、問題は裏面です。
丸の中に10という数字を描いて終わりという人が何と多いことか。
年号(例えば)「令和二年」等の文字が10の下に描かれており、その下にはローレルのような樹木(常盤木:ときわぎ という常緑広葉樹)、そしてリボンが描かれています。
ここまで描ける方はほぼ皆無です。

日々接していることと、理解していることは違う

このワークをした後に、部下のことをよく理解していますかという質問をします。
日々接しているからといってよく理解していると思うのは、実は思い込みのケースが多いのです。

②の両国国技館の住所である「横網」は、「よこあみ」です。
このワークもたびたびセミナーで使っていて、「よこづな」と読む人が6割~9割くらい居ます。
人生のベテランになればなるほど、間違える傾向が強くなります。

このワークの後には、部下やお客様のことを「こうに違いない」と思っているのは、もしかしたら事実と異なるかもしれないということです。
特に、経営者のところにあがってくる情報は、複数の階層の部下を通じてのものが多く、それぞれの人のフィルターを通して得られた情報です。
自分一人でも、10円玉や横網で痛い思いをしているにもかかわらず、部下たちもそれを繰り返しているわけですから、情報が不確かなものになることもあります。

こうした思考の領域の錯覚は多くの場合、会社に危機をもたらします。
くれぐれもご注意なさいますよう。

次回は「経営者と家族の関係は難しい」というテーマを考えてみます。
レジリエンスの高い経営者とそうでない経営者の差は、こうした人間の基本的なことをどれだけ深く理解しているかどうかということにも関連します。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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