HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

益田 和久

ホーム > 益田 和久 > 記事一覧 > 第68回 重要だけど緊急ではないこと

第68回 重要だけど緊急ではないこと

2022/06/23

先週、某社さんで問題解決力向上の研修を実施していたときのこと。参加者から「職場で直面している問題」としてテーマアップされたのが「Internet Explorer(以下IE)終了後の対応」でした。
6月15日のサポート終了による問題の発生ですが、急に起きたトラブルではなく、マイクロソフト社は1年前から発表していましたので、対応の遅れによる社内的な混乱が生じているのが現状ではないでしょうか。
奇しくも同日付の日本経済新聞が今回の事態について取り上げていました。
調査によると、今年3月時点では約半数の企業が業務でIEを使っており、その用途も社内システムから受発注システムまで多岐にわたり、サポート終了後のブラウザー移行も「対策していない」「わからない」という企業が20%もあったようです。
また政府系機関の対応の遅れも多く、仮にchromeやEdgeへの変更ができていても、一部はEdgeで「IEモード」で閲覧しないといけないなど、課題を放置してきた現場の実態が浮き彫りになった感じだという論評でした。

Windowsの普及とともに普及したIE。
PCを使ったことのある人なら、誰しも一度は操作したことがありますよね。
ただスマホが普及してきて、iPhone(Mac)のユーザーが増えてきてからは、chromeやsafariが急速に普及したような印象があります。
同時にIEの使いにくさのようなものが少しずつ露見してユーザー離れが進んだこともあると思います。
実際、コロナ禍以降でオンライン研修を実施していて、ブラウザでファイルやアプリを共有しようしたときに不具合がでるのがIEの利用者でした。
その度、chromeやEdgeへの変更をお願いしておりましたが、組織としてシステム稼働のときにIEを活用しているので、ご本人の一存だけで変更できないという事象が度々ありました。
サポート期間終了の案内があってから、IEを導入されているお客様のことを案じておりましたが、みなさん対応がうまくいったとはいえないような感じです。

私はオンラインの推進こそしていますが、技術に関する専門的な知見があるわけではないので、ベストな対応を明言できません。
ただ今回確実にいえることは、「重要だが緊急ではないこと」を放っておくとそれはいつしか「重要かつ緊急なこと」に変化していくということです。
各社によって、上層部の意識が薄かったとか、担当部署の人員不足だとか、理由は様々でしょうが、大事なことであるのは認識していたはずです。
名著「7つの習慣」で紹介され、世界的にも認識されている理論「重要事項を優先する」の通り、企業も個人も、今何をすべきか、何から先にやるべきか、何に一番労力を使うかを見極めていく必要があります。
今回は改めてその教訓になったのではないでしょうか。

では、私たちは「重要だが緊急ではないこと」をどうやって遅滞なく進めていけばいいのか。
強く意識するとか、リマインドを徹底するとか、精神論的な手法は現実的なないと思います。
私はいつも講義で、「次にとるべく具体的な行動を決める、それをやることリストにいれる」とお伝えしています。
例えば今回のIEの件であれば、「IEからEdgeに変更するときに不安なことを社内アンケートで吸い上げる」とか「具体的な導入スケジュールを作成する」とか「システム業者に入替の提案をしてもらう」といった目に見えてわかることです。
具体的な行動を始めないと物事が先に進まないことは周知の事実ですし、長期的なスケジューリングを立てようとすると、それだけで時間がかかってどんどん物事が遅れてしまいます。

まずは「はじめの一歩」が大事だと思います。
そうすることで、二歩目、三歩目も出てくるのは、これまでいろんな事例でみてきました。
今回のIEのことを教材にして、改めて「重要だが緊急でないこと」を再度見直して見ようと思った今日この頃です。