第49回 部下が自走し成長する方法〜考え方編(1/3)〜
2022/03/21
私は、この35年間、人を自立・自走させるためには、どうしたら良いか?を探求・実践してきました。
20代では教育現場で、子どもたちがやらされ感なく自発的に取り組むことなど、小さな革命をいくつも起こしました。
30代では介護会社で200名のヘルパーたちを管理育成する立場になり、それまで人手不足だった組織を『人が辞めない会社』にすることができました。
40代では、我が子に対して既存の公教育ではなくオルタナティブ教育で育て、小さな頃から自立・自走し、お互いに成長しあえる関係を築いています。
現在55歳、多くの中小企業で、組織を『自走組織』に変革しています。
このように、多くの社員を自立・自走させてきた私と、他の『教育者』たちとは何が違うのか?
これから『考え方・伝え方・問い方』の3回にわたり説明します。
今日は、部下が自走し成長する方法〜考え方編です。
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多くの教育者は、目の前の生徒や部下に対して、できないことに『フォーカス』しまいがちです。
できないところを、できるように助言・指導するのです。
それは、もちろん間違えではないのですが『フォーカス』を変えるだけで、驚くほど成長速度が早まります。
良く言われている「いいところを見つけて伸ばす」というのとも違いますので、どうぞ読み進めてみてくださいね。
ポテンシャルを信じる
私は、目の前の社員・部下(生徒や子どもたち)に対して「どうせいつか出来る様になるもんね!」と思って関わります。
いま現在がどうであれ、半年後・1年後・2年後・・・成長しているでしょ、って。
現在ではなく、相手の可能性やポテンシャルを信じて関わっています。
そして、他の教育者を見ていると近視眼的な捉え方の方が多い、という私の印象です。
現在『ダメな社員』だから、その『ダメ』をなんとかしなくちゃ!とか、なんとかしてほしい!と感じている方が多いのです。
そんな『ダメダメ社員』を託された私は、十分に聞き取りを行ったあと、本人と対峙するのですが、どんな話を聞いたとしても「半年後には成長してるもんね〜」という信頼で関わります。
実は、人間というのは、無意識に相手の期待に応えようとするもの。
だから『ダメだ、ダメだ』と言われていると、その期待に応えて、どんどんダメになっていく。
逆に『成長するのが本当に楽しみだ〜』と思って関わると、その期待に応えて、どんどん成長するのです。
だから、どんなに酷い話を聞いていたとしても、それは目の前の人の『現在』であって「どんどん成長するもんね。楽しみだ〜」という気持ちで関わるようにしています。
しかも、その『現在』も、全て正しい見解とも限りません。
期待通りではなかったり、関係性が悪いなどの理由で、本来の『自分らしさ』『ポテンシャル』が発揮できていないだけかもしれません。
だから『現在』ですらないのかもしれません。
どんなに表面上『ダメなやつだ!』と見えたとしても、本当にそうなのかはわからないのです。
だから私は決して決めつけないように気をつけています。
さて「相手の可能性やポテンシャルを信じる」には注意点があります。
心の底では『ダメなやつだ』と思いながら、頭の理解だけで「成長する」と『考えようとしても』相手の無意識の期待は発動されません。
それどころか、心の底の『ダメなやつだ』の方の期待に応えてしまいます。
何度か書いていますが、人間は本当に誰もが超能力者だと私は感じています。
どんなに表面上を取り繕っても、なんとなく伝わっているのですから。
だから、実は『考え方』というよりは『在り方』なのです。
この『在り方』というのは、言葉で説明しづらいので、あえて言葉にすると『心から相手を信頼している関わり方・考え方』ということです。
お互いに成長しあえる関係になる
社員でも生徒でも子どもでも、この関わり方はよく効きます!
そして、私たち教育者も幸せで、相手も幸せで、お互いにどんどん成長していけます。
しかし、学校や家庭だったら、それは教育の場でもあるので、やりやすいかもしれませんが、会社は学校ではありません。成果が求められます。
「そんなダメな奴を『信頼する』なんて難しい!仕事なんだからちゃんとやってくれよ!」
という気持ちも十分に理解できます。
『だからこそ!』なのです。
部下のダメな部分を指摘し、教育し、何度も繰り返し、お互いに疲弊するよりも。
ダメな部下がどんどん成長し、感謝され、お互いに気づきあえ、成長し合えたほうが良くないですか?
その状態を起こすには、教育する側が、まず相手を信じること。
ここから始めることなのだと私は現場で日々、実感しています。
『対話』が大事
この『信じる』をどんどんと深めるために『対話』は欠かせません。
とにかく相手の深い気持ちや考えを知りたくて、私は、とことん対話をします。
こちらから答えを押し付けるようなことはしません。
相手の中の答えを引き出す質問を通じて相手理解を深めます。
多くの教育者たちは、自分たちが『正解』で、相手が間違っているから、正解を伝えようとする方が多いように感じます。(もちろん、そうじゃない方もいます!)
学校教育がそのやり方なので、仕方がありません。
しかし、現代社会は、変化の時代。
もう『正しい答え』なんてない時代なのです。
だから、質問を通じて、相手の言語化をお手伝いしながら、ディスカッションを通じて答えを創造していく『クリエイティブな対話』を楽しむこと。
それは、これまでの『正しい答えありきの教育』ではなく、クリエイティブな対話を通じて、正しい答えを創造していくことだと、私は考えます。
と、少し脱線してしまいました『対話』に話を戻すと・・・
人は自分の話をちゃんと聞いてくれる人が好きです。
だから、ちゃんと聞くだけで信頼関係が築けます。
信頼関係があって、相手のポテンシャルを信じて関わるから、どんどん成長してくれるし、お互いに気づきあえる、成長しあえる関係になるのです。
この考え方で人と関わると、心が幸せなだけではなく、日々、さまざまな感動があります。もちろん、いつもうまくいくわけではありません。
うまくいかないことも含めて、楽しめるのです。
ぜひ試してみてくださいね!