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木村 圭

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第13回 その“当たり前”きちんと伝えていますか?

2022/03/14

プレゼンやセールスの教科書にはよく「ベネフィットを伝えましょう」と書かれています。ベネフィットとは、顧客が最終的に得られる利益のこと。

例えば、パソコンだったら「高性能CPUを搭載していますよ!」と言われるより「サクサク動くのでストレスなく使えますよ!」と言われた方が欲しくなりますよね。

「高性能CPUを搭載している」というのは商品スペックで、「サクサク動いてストレスなく使える」はベネフィットです。

顧客は商品そのものが欲しいのではなく、その商品を利用したハッピーな未来(=最終的に得られる利益)を購入しています。なので、商品スペックを伝えるより、ベネフィットを伝えた方が購入してもらいやすくなるというわけです。

ところで、ベネフィットばかり考えて、商品そのものの魅力について伝えきれていない「もったいないケース」もあります。

それが、商品の“当たり前”を伝えるということ。

「え? 当たり前のことを伝えても意味ないんじゃないの? 独自性や強みを伝えるべきでは?」

確かに、誰もが知っているような“当たり前”を伝えても意味はありません。

飲料水メーカーが、「当社のミネラルウォーターには水が使われています」と伝えても「は? そんなこと知ってるよ」と言われるだけです。

では、次のように言われたどうでしょうか?

「当社のミネラルウォーターには、39個の水質基準をクリアした水が使われています」

このように言われると、なんだか厳しい基準をクリアした特別な水のように思えますよね。

しかし、実際「39個の水質基準」というのは、食品衛生法上定められた成分規格(殺菌・除菌有)であり、この基準を満たしていないとそもそもミネラルウォーターとして売ることができません。

だからなのかはわからないですが、ミネラルウォーターのペットボトルを手に取っても「39個の水質基準をクリア」なんて表現どこにも書いてないですよね。そう、飲料水メーカーにとっては、そんなこと“当たり前”過ぎてわざわざ書く必要はないのです。

しかし、顧客にとってはどうでしょう? 食品に詳しい人ならまだしも、そうでない人にとっては商品を魅力的に感じる要素のひとつになるのではないでしょうか。

業界にとっては当たり前、その道のプロなら当たり前、この会社に勤めているなら当たり前。このように私たちは商品の特徴や自分たちの持っている知識を“当たり前”と思い込んでいます。ところが、その当たり前は世間一般では違うかもしれません。

そうだとすれば、他社が当たり前と思ってわざわざ伝えていないようなことでも、積極的に伝える価値があります。「〇〇にとっては当たり前」も知らない顧客からすれば、立派な強みや独自性として認知されるわけです。

ベネフィットだけ考えるのではなく、今一度自社の商品を見つめなおして、世間一般では知られていない当たり前を探してみてください。

きっと、あなたにとっての“当たり前”が、 “当たり前じゃない結果”を返してくれるはずです。