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高松 秀樹

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第65回:大手メーカーの技能伝承

2022/03/12

「技術・技能伝承」は大手メーカーにおいて緊急の課題ですが、実践に向けた取組みは日常業務に追われて後回しになりやすく、また熟練技術者の退職や若手人材の採用難などが現実となってから慌てるケースは少なくありません。

そんななか、鉄鋼メーカー国内トップ、世界でも3位に入る「日本製鉄」が3月上旬、AI活用で社会課題に取り組むスタートアップ「エクサウィザーズ」の協力を受け、製鉄現場の重機操業における「効率的な技能伝承」を実現することを目指し、「熟練作業者」の作業状況を「可視化」するデータ解析基盤を構築したと発表しました。

日鉄といえば、2019年度、2020年度と2期連続で最終赤字に沈み、鉄鋼メーカーの象徴ともいえる高炉を3基休止するなど、社内には「このままでは立ち行かなくなるだろう、、」といった不安ムードが漂っていたようですが、そんな危機感こそが改善策をつくり、2021年度は5000億円を超える過去最高益を生み出しました。

業績向上の裏には、「強い交渉力」も存在します。
21年夏には、国内大口顧客である「トヨタ自動車」との取引で供給制限を辞さない姿勢を示し、2割ほどの値上げも勝ち取っています。
また21年10月には、中国の大手鉄鋼メーカーとトヨタを相手に「特許侵害」の訴訟も起こしています。

いずれにしても、業績好調な今こそ、長年の課題のひとつであった「熟練者の技能伝承」の取組みに注力し、「世界に誇る技術力」を後世に繋いでいただきたいと期待しています。

鉄は国家なり!!