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星 寿美

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第40回 社員を大切にしているのに、うまくいかないと嘆くある代表の気づき

2022/01/16

有名な『成功の循環モデル』(ダニエルキム教授)を知って、成果をあげるのは『関係の質』が大事なのだと理解はしたけれど、実際にどうしたらいいのか分からずに困っていた、あるNPO法人の代表が相談にきました。

「うちでは、会議もよくやっているし、ちゃんと話を聞いて対話も深めている。にもかかわらず人が辞めていき、慢性的に人手不足だ。どうしたらいいのか・・・。」

そこで私はいつものように社員と個別面談を実施し『ただ、ありのままを受容し、内側にあることを、質問を通じて言語化するお手伝い』しました。

すると、その代表は確かに対話を深めてはいるのですが、代表の価値観だけが正しくて、違う価値観は受け付けていない、という現状が浮き彫りになりました。

代表が思い描く活動をするためにも、相手をありのまま受容する関わり方が必要なのです。
どういうことか、というと。

相手の価値観を否定してしまうと、そこに『対立』が生まれます。
自分の価値観を自分が尊重できていれば、相手の価値観も「自分とは違うけれど、相手にとっては大事な価値観なのだ。」と感じることができるので、否定する必要がありません。

お互いに安心して、想いや価値観を共有しあうことで、共感できたり、共通項を見つけ、お互いを生かし合いながら、同じ目的に向かって歩いて行けます。

しかし、相手の価値観を自分とは違うからと否定していたら(実はピッタリ合う相手なんてどこにもいないので)最初は理解しあっていると感じていた相手であっても、少しずつズレが生じて対立関係になってしまうことは往々にしてあります。

人の上にたつ人ほど、相手を否定しないコミュニケーションを学び、一人一人を活かし相乗効果で想定以上の成果に繋げることが必要です。

そういうコミュニケーションを私たちは学校でも社会でも学んでいないために、このNPO法人のようなことが、実は至る所で起こっています。

せっかく素晴らしい情熱で活動しているのに。せっかく素晴らしい情熱を持って集まってきてくれた仲間なのに。

対立して傷ついて去って行く・・・。
このような悲しいコミュケーションを多く見てきました。

しかし、どんなプロセスにあっても、ありのまま受容する関わりをすることで関係性を劇的に変えることができます。
全部が正解!という世界観で、感情レベルの深い対話ができれば、傷つけあって対立していた関係も修復可能なのです。

自分だけが正解というコミュニケーションをとっていることにすら無意識だった代表が、そのことに意識的になり、まず自分を尊重することで、人のことも尊重できるようになりました。

上に立つ人ほど『ありのままを認めて、一人一人を活かす。』という心の器を広げる必要があります。
そして、心の器は、ストレスを感じるような相手が広げてくれるのです。
そのことを実感できると、どんな相手に対しても感謝が溢れるようになるでしょう。

もちろん、自分の利益や都合しか考えないような人も社会にはいます。
相手が、本当にそのような性格なのか、こちらの関わり方でそのように見えているだけなのか、それが理解できるようにもなります。

想いや価値観に共通項を見つけて、違いを尊重しつつ、人を活かして相乗効果で想定以上の成果を出す!
それは、思いのほか、シンプルに実行できます。
ここにあげた例だけではなく、多くの組織で実感しているのです。

だからこそ、感情を大切に扱うことで、自分の想いや価値観を表現し、お互いに尊重し合う関わりを、この社会に広げて行きたいと私は心から感じ、邁進しています。

PS.

感情レベルの深いコミュニケーションについて、誰でもできるシンプルな方法を体系化し絶賛執筆中です。

今月中(2022年1月)に出版します。
具体例もふんだんに載せています!
お楽しみに。