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星 寿美

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第32回 ダメ社員が育つか否かは関わり方次第

2021/11/21

部下に対して、ストレスを感じることありますよね?
例えば、部下と丁寧に関わり、こちらからコミュニケーションを取る努力をしても、なかなか成長しない。
それどころか、ちょっと指摘しただけで反抗的な態度を取られてしまう、など。

「もう、どんなふうに接すればいいのか分からない!」と、指導する側がストレスを抱えてしまうパターン、時々あります。

こんな時、私は、部下側、上司側から双方から話を聞きます。
大抵の場合は、同じ事実(同じ場所で同じ経験をしている)でも、捉え方がまるで違うことが多いです。

関係がこじれてしまった場合には、私のような第3者を間に入れることで、根本的に解決できます。
なぜなら、お互いの捉え方や想いをありのまま受容し、それを伝え合う機会を設定し、すり合わせ(感情の奥にある無意識レベルを言語化)できるからです。

しかし、実はそのほとんどの場合は『こじれる前』に解決できます。
それどころか面白ように部下が成長します。

それは、上司(リーダー)の関わり方次第です!
と、いうことで今回は、

①部下がやる気を出し、グングン育つ関わり方とは?
②成長にかなりの時間がかかるケースとは?

について説明します。

①部下がやる気を出し、グングン育つ関わり方とは?

小さな会社には、多種多様、本当に色々な方が入社されます。
なので、理想の型に当てはめようとしても、そもそも無理があります。
どうしたらいいのでしょうか?

それは、どんな相手に対しても『ありのままを受容する』関わり方をすることです。
何度か書いていますが、それは相手を理解することでも、受け入れることでもありません。

全く理解できなくても。考えを受け入れなくてもいいのです!

ただ、ありのままを受容する、ということです。
この関わり方は、日本では教育されていない(経験が少ない)ために、難しく感じる方が多いのですが。

相手をコントロールするのではなく、相手のやる気と能力を引き出すためには、有効なアプローチです。
しかし、私たちは『こうするべき。』という型にハマっていたら○、ハマっていなければ×、という教育を受けてきているので、ただ『ありのままを受容する。』ということに慣れていません。

答えのない不透明なこれからの時代、進化し続ける組織で在りたいのであれば、『答えありきではなく、やる気と能力を引き出し、お互いに触発し成長して行く。』ということが必須な時代に入っています。

具体的にどうするか?

まずは、ただ「そうなんだね。」とありのままを受容する『聴き方』をするということです。
それは、(私とは、考えが違うし、私はその考えは相容れないけれど)「あなたはそうなんですね。」と、ありのままを受容します。
理解してなくても受け入れていなくても、心から「あなたはそうなのね。」と言えますよね?

このように、ありのままを受容すると次に、どうしてそう思うのか?背景は?また、どうありたいのか?どうしたいのか?など『質問したいこと』がたくさん出てきます。
なぜなら、理解したわけでも、受け入れたわけでもないので、疑問点が出てくるわけです。

あなたはそう考えるのね。それはどうしてそう思うの?これからどうなっていきたいの?どうなればあなたは幸せなの?・・・etc。

ありのままを受容し、相手を理解したいという思いからの質問によって、相手の言葉を多く引き出すことができます。

理想は上司2:部下8の割合で対話できれば大成功です!(実際には逆、上司8:部下2のことは多いです。)

質問は、相手の中にある答えを引き出すだけではありません。
こちらに答えがあって、気づいて欲しいことを、相手が言語化することに非常に有効です。

人は、相手から言われたことは忘れますが、自分で言ったことは実行しようとします。
だから、こちらは『ありのままを受容する』『上質な質問で言葉を引き出す』という関わり方をすればいいのです。

この関わり方ができる人は、本当に少ないと感じています。
しかし、気づいた方から本人も、部下も、組織としても、大きく進化成長しています。

②成長にかなりの時間がかかるケースとは?

とはいえ、万人に効く方法でもありません。
あまりに自分視点や他責癖が強すぎる人には有効とは言えません。
自分の中の正義が全て!自分が見えている視点が全て!私は正しい、相手に原因がある!と、相手を悪者にして人と対立してしまう思考癖の方は、難しいのです。

本人は全くの無意識で正義感からの思考なので、時間がかかる場合が多いのです。

まず、自分から見えている世界と人から見えている世界は違うこと。
そして、その結果は、自分が選択している結果だということや、自分が結果を変える行動が取れるのだということなどに『気づいていただく』ところから対話を深める必要があるからです。

この対話には時間もかかりますし、スキルも必要です。
幼少期の親との関係などに根本原因があり、そこから気づいていただく必要がある場合が多いからです。

このような人材を、時間がかかっても、仲間として成長してほしい!と育成の道を選ぶのもいいですし、または、
その人がいるだけで、他の社員に悪影響が大きいから、自己都合でやめていただいて、いい人材を新たに採用する、という選択もいいと思います。

いづれにしても、あまりに自分視点や他責癖が強すぎる人は要注意です。
ただ、育成の過程で社会性を身につける機会が少なかったなど、その人なりの理由があります。
どんな場合にも、人それぞれ『理由』があることを忘れてはいけません。

余談ですが、
このような人材は面接では好印象の方が多い印象です。
笑顔も多く、ハキハキしていて、耳あたりのいいことも言います。
だから期待の新人!期待の中途採用!ということが多いです。

面接では、表面的な質問に対してはそつなく答えることができますので、できるだけ思考の癖がわかる質問で内面を深めることが大事です。
楽しく気持ちよく話していただくことを心がけながら本音を引き出しましょう!と、話題が面接に飛んでしまいましたが、いままで関わった、9割のトラブルメーカーは面接うけのいい人材でしたので、面接は重要です!

まとめ

あまりに自分視点や他責癖が強すぎる人。自分の中の正義が全て!自分が見えている視点が全て!私は正しい、相手に原因がある!と、相手を悪者にして人と対立してしまう思考癖の強い方は別として。

そうではない、多種多様なタイプの方に有効なアプローチが『ありのままを受容する』関わり方です。

タイプ別に分けてアプローチを変える手法もありますが、そもそも人は多面的で感情的。
タイプ別に分けて相手を理解しようとするのもいいのですが、逆にそこに縛られて本質から外れてしまうこともあり得ます。
さまざまなタイプがある、ということを知っていれば十分だと私は思います。

タイプ別に分けて理解したり、アプローチを変えるのではなくて、ただ相手をありのまま受容すること。
その方がずっと楽ちんで効果は絶大です。
誰でも、ありのままの自分を受け入れられたら嬉しいと感じるからです。

そして、良質な質問により、相手の内側の言語化、こちらが気づいて欲しいことの言語化をお手伝いしましょう。
すると、部下との関係性も良くなり、相手はどんどん成長していきます。
相手の成長に関われること自体をぜひ楽しんでくださいね!