HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

星 寿美

ホーム > 星 寿美 > 記事一覧 > 第31回 問題社員を能動人材に育成するコツ

第31回 問題社員を能動人材に育成するコツ

2021/11/14

様々な企業に入らせていただき、リーダーたちから相談を受けます。
例えば、

「Aさんに困っています。マイペースで周りと連携できないんです!」
「Bさんに手を焼いています。注意すると不貞腐れて態度が悪いんです!」
「Cさんのことを、周りの人が嫌がってしまって、もう一緒に仕事したくないという声が続出しているんです!」

このような問題社員と、リーダーは真摯に向き合い、話を聴こうと試みていますが難しく困っていました。

あなたなら、こんな時にどうしますか?

このような問題社員の問題を助長させてしまう関わり方と、能動人材に成長する関わり方があります。
実践の中で学んだことまとめます。

問題社員の問題を助長させてしまう関わり方

悪い部分、できていない部分が気になって、そのことばかり注意してしまう。
これは、よくある関わり方です。

頭では、いいところを見つけて伝えたほうがいいって思ってはいても、何度も注意しても改善されないなどが続くと、リーダーも「もう!何度言えばわかるの?」「いい加減にして!」などと、心が『感情』で反応している状態になり、いい部分に目を向けることが難しくなっていくことは多いです。

その状態に行き着くまで、それぞれ真摯に向き合い、試行錯誤し、努力されているので、その労力・心労は十分に理解できます。
時間をかけ、労力をかけ、心をかけ、それでも改善されない、そんな状態が続くと、その部下に対してストレスを感じるのは当たり前です。

その状態になると「部下が変わって欲しい!」と相手を変えようとする心理になるのは仕方がないことです。

仕方がないことですし、十分理解はできますが、この『相手を変えようとする。』意識があると、問題社員を育成するのが難しくなります。では、どうしたらいいのでしょうか?

能動人材に成長する関わり方

相手を変えようとするのではなく『今はそうだけれど、数年経ったら成長してるよね!』というように、目の前の状態がどうであれ(ひどい状態でも)数年後には活躍している人材なのだ、と『信頼』することが非常に重要なポイントです。最初に書いた相談内容で解説します。

A.マイペースで周りと連携できない!

人よりは成長がゆっくりだけれど、成長する時間は人によって違うし、手がかかり時間がかかった人材ほど、育ったあと数年経ったら『あの時、こうだったよね!』と笑い話のネタになる。
そして、同じような新人が入ってきた時に気持ちに寄り添える先輩になっている。
その未来を想像し信頼する必要があります。

実際に、マイペースで周りと連携できない人の多くは、その習慣がないため、本人も悩んでいることが多い。
悪気があったり、わざとそういう状況なわけではないことが多いのです。

なので、例えば「最近、仕事早くなったね。」と、少しでもできるようになったことを伝えたり「丁寧なのはとてもいいれど、プラス、スピードアップできたら、さらにいいので意識してみてね。」などと、その人なりに頑張っている部分を認めつつ、習慣化できるような関わり方をすると、育成という意味では、結果的に無用な遠回りをせずに済むと思います。

「いやいや、星さん。甘いですよ。マイペースで周りと連携できないくせに、注意すると不貞腐れるんですよ?どうしたらいいですか?」という声が聞こえそうです。

B.注意すると不貞腐れて態度が悪い!

不貞腐れて態度が悪い!というような、こちらの感情を逆撫でするような相手にも、実は、そうならざるを得ない『理由』があります。

理由というのは「こうだからこうする。」というような頭の理論で説明がつく種類の理由ではなく、本人的には無意識の感情レベルでそうせざるを得ない理由です。

本人は、そんな態度は取りたくないと心から思うのですが、そうせざるを得ない、どうしようもない理由があります。

例えば、ただのマイペースだと見えていたとしても・・・。

実際には、
「注意されても、実際できていないのだから仕方がないし、注意してくれて気づけるからありがたい。
でも、まるで、何も考えていない奴だと決めつけられるのは心が苦しい。こんなに真剣に取り組んでいるのに!」

これはほんの一例ですが、たくさんの感情レベルでそうせざるを得ない理由があるのです。

このように、目に見える事実と、内側で起こっていることに乖離がある場合が非常に多いのです。
どんなに状況証拠で「まったく!」と見える問題社員でも、内側まで決めつけてしまうのは、本当にもったいない。
感情レベルの理由を聴くことができれば、早く、ぐ〜んと成長すること多し!なのです。

この方法は今まで、教育されていないので苦労されている方が非常に多いです。

余談ですが、かくいう私も教育で理解できたわけではなく、多くの人との関わり合いの中で理解することができました。
いい出会い、悪い出会い、嬉しい関わり合い、最悪の関わり合い、そういう多くの体験から少しづつ理解し成長できたので、今まで出会った全ての人や出来事に心から感謝しています。

人との出会いが自分の枠を広げ、自分を成長させる『きっかけ』になるので、問題社員に出会えることは、リーダーとしては、自分の枠を広げ成長できる、いいチャンス。
その時は『もういい加減にして!』とストレスを感じていても、ずっと後には『あの時のプロセスのおかげで成長できた。』と感謝できる日が来ます。

この感謝を積み重ねることで「あぁ、あなたも今はひどい状態だけれど、結局成長しちゃうんでしょ。」と未来を信じることができるようになります。

相手の未来を信じることが簡単になると、人を育成するのは楽しくなります。
手強い人材が部下になっても、以前ほどストレスを感じない自分に気づき「私も成長している!」と実感できます。

実は、人の能力にそれほど『差』ってないんですよね。
その能力を引き出せるかどうかは、こちらの関わり方次第です。

と、余談が長くなり失礼しました。
感情レベルの理由を『聴く』ことさえできたら解決します、という部分に戻りますが、この『聴く』が難しいと感じている方が多いのです。

ここ数年で『傾聴が大事』などと言われ『傾聴』を学ぶ方も増えてきましたが、方法として学んでしまうと、余計に難しさを感じてしまう方も増えています。

例えば「うなずき」「おうむ返し」「最後まで話を聴く」「否定しない」等・・・。

実は、うなずかなくても、おうむ返ししなくても、時には否定しても、あまり関係ないのです!

そういう表面的なスキルではなく『相手の存在と未来を信頼し、こちらが先に心を開き、相手のことに心から興味を寄せる。』そこが一番大事です。

このような『あり方』であれば、表面的に叱ろうが否定しようが、それほど変わりません。
感情レベルの理由を『聴く』ことさえできたら解決します。
相手を変えようとしなくても、いや、変えようとしないからこそ、みるみる成長していきます。

C.周りの人が嫌がってしまっている!

周りから「もう一緒に仕事をしたくない!」と言われる人材には、さまざまなタイプの人がいますが『自分視点が強すぎる』という共通項があるように私は常々、感じます。

自分が見える世界が、世界の全て。他人も自分が見える世界に住んでいるのだと思っている人。
自分の中の正義が絶対だと思ってしまっている人・・・

それゆえ、相手が間違っているという『いい・悪い』2元思考で人と『対立』する心の習慣を持っています。

厄介なのは、自分は一生懸命にやっている!と本人が、人と対立していることに無意識なこと。
自覚できていれば、改善はできますが、自覚のない人を改善するのは至難の技です。

なので、
・同じ状況を同じ時間に同じように体験していても、見えている世界も感じ方も人それぞれ違う。

・いい・悪い2元思考で人をジャッジしたり、自分の中の正義だけが全て、という無意識の心の習慣を持っている。

など無意識レベルのあり方・捉え方について、対話を通じて気づいていただくところから始めないといけません。
その対話自体、ましてや気づくまで時間がかかります。

そこに気づけるかどうかは、本人の他責癖の強さや、承認欲求の強さ(いづれも自尊心の低さが要因。自尊心の低さは幼少期からの成長段階の影響が強い。)に関わっています。

会社は学校ではなく、同じ方向に向かい、協力しあいながら成果を出す場所です。
そのプロセスで結果的に、お互いに刺激しあい、成長できる、ある意味学校よりも学校ではありますが、それは、付随する大きなメリットであって、目的ではありません。

ですから、あまりにも自分視点が強すぎて、どんな対話を深めても深まらず、周りに悪影響を及ぼす人材は、自己都合で気持ちよく辞めていただいて、いい人材を採用することも、時には必要かと思います。

ポイントは、このような人材は自分視点で他責の念が強い側面があるので、遺恨を残さないためにも『自己都合で気持ちよく辞めていただく』そのための対話(ありのままを受容する聴き方)が必須です。

この対話によって、自身の自分視点の強さや、他責癖を『自覚』できれば(言葉上ではなく、腑に落ちることができれば)、成長する可能性は高いので、長い目でプロセスを見守る選択も可能です。

まとめ

手強い問題社員を育成するために必要なのは・・・

①『今がどんな状況であれ、どうせ数年後には活躍しているんでしょ!』と相手を信じる気持ちが重要。
人は相手の期待に応えようとする側面があるので、こちらのあり方次第で相手の方向が変わることは多々あります。

②悪い部分にフォーカスしてそれを『変えよう』とするのではなく、できていることを認め言葉で伝えながら「こうしたらより良くなる。」というように承認しつつ気づかせる関わり方をすること。
そして『相手の存在と未来を信頼し、こちらが先に心を開き、相手のことに心から興味を寄せる。』聴き方・関わり方をすることで、自ら気づき成長していきます。

③あまりに自分視点が強く、自分なりの正義感や他責の念が強く、人と対立関係になってしまうが、本人はそこに『無自覚』というような場合。
深い対話を試みてもそこに気づかない人材は『自己都合で気持ちよく辞めていただく』ことも時には必要。

問題社員を育成するコツについて実践で学んだことを、私なりにまとめました。
少しでも参考になれば幸いです。