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星 寿美

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第30回 ある人が入社した半年後に人が次々に辞める?!

2021/11/07

『たった一人の人』を中途採用しただけで、組織が険悪になる。
しかも、その『たった一人の人』は、見た目はできる人なので上層部は「いい人材を採用できた!」と思っているので、最初はどうしてこんな問題が起こるか分からない。

自走組織コンサルタントして企業に入ると、時々このような案件に出会いますので、実は、珍しいことではありません。

そして、この、たった一人の人は『トラブルメーカー』と言うわけですが、本人にその意識が全くない、悪意0という場合がほとんどです。

上司や管理者が、トラブルメーカーに早く気づき、早めの対応をすれば問題はないのですが、このような場合のほとんどが、人間関係が『こじれに拗れてから』発覚するので、真面目に取り組んでいるいい人材の方がやめてしまった後に気づくと言うことも。

こんな場合はどうしたらいいのでしょうか?

①実は、面接である程度は見抜けます。
②採用してしまったあと、見抜く方法はあります。
③実際に人間関係がこじれてしまってからの解決方法。

この3点を、一つずつご説明します。

①実は、面接である程度は見抜けます。

一見、できる風貌で、ハキハキと明るいなど『いい人材に見える。』の人材であっても、面接時、気をつけていればトラブルメーカーの『芽』を持っているかどうか判ります。

例えば、
「前職をどうして辞めたのですか?」と言う質問はしているかと思うのですが、もし、その答えの中に「人や環境」を悪くことがあれば要注意です。

『他責の思考』があると、人や環境を悪くいうことがあります。
このような方は、人を変え、環境を変え、同じことを繰り返している可能性があります。

たとえ、本当に前職の環境が最悪だったとしても、新しい会社の、ましてや面接時に言うこと自体、相手視点や自分の立場を理解できていない、と言うことになります。

また、
「今までの仕事で、人と協力してうまくいったことと、うまくいかなかったり、難しく感じていたことなどを教えてください。」などを聞いたとき。

もしも、うまくいったことは言えるけれど「うまく行かなかったこと・難しく感じることはない。」と『いいことだけをアピール』する答えだと要注意。

人は多かれ少なかれ、さまざまな人間関係の中で、さまざまなことが起こり、その都度学んでいます。
もし、人との関係に難しさを感じたことがないのであれば、自分視点が強い可能性があります。

トラブルメーカーは、自分視点が強く、自分が見えている世界が常識だと感じている方が多いのです。

これらの質問や答えは、ほんの一例です。聞く内容はなんでもいいのですが、見抜くポイントは、

・過去の人や環境を悪く言っていないか?
・自分視点・自己主張が強すぎないか?
・失敗やうまくいかなかったことを、自分の学びとして捉えられているか?

これらのことを『感じ取ろう』と意識して面接をすることで、風貌や態度に惑わされず、ある程度のトラブルメーカーの『芽』を見抜くことは可能です。

②採用してしまったあと、見抜く方法はあります。

入社し、まだ数ヶ月にも関わらず、前職の職場でのやり方と比較して「こうしたらいいのに。」と意見を言う方は要注意です。
もちろん、現職場をよりよくしようと言う意気込み、貢献したいという熱意からの『一つの意見・アイデア』としてなら、素晴らしいことです。

例えば、
「前職では、このようなやり方をしていたことで、こんな成果が出ていましたが、もし、ここで取り入れたらどんなふうになるでしょうか?」と言うように、意見の一つとしての提案なら大歓迎ですよね。

そうではなく、以前の経験と比較して、今の職場が間違っていると言うようなジャッジするような意識、もしくは、自分の経験の方が正しい、自分はやり方を知っている、と言うような、正しさの主張になってしまうのは問題です。

そもそも、中途で経験が豊富であっても、その組織にとっては、採用されたばかりの『新人』です。
まずその組織風土を理解し馴染もうとする謙虚な姿勢がなく、自己主張をする方は『人と信頼関係を築く』と言う、一番大切な部分が抜けてしまっています。

また、こんな場合もあります。
業務上での『注意』や、こうしてほしいなどの『指示』を出されたときの態度が、反抗まではいかなくとも、抵抗的な態度の方がいます。

「面接では、明るくハキハキしていて、本当にいい人材に思ったのに!」と言う人材が、いざ仕事を一緒にしてみると、いちいち抵抗的だ、と言うことはよくあることです。
抵抗的とは、例えば、

「Aさん、この場合は、今度からこうしてね。」→「わかってます。」
「Aさん、指示していたことができていなかったけれど・・・。」→「やりました!」
「何度か、同じこと伝えているので、次回から気をつけてね。」→「言われてません。初めてだったので、分かりませんでした。」

スムーズに対話が流れていない感じ、伝わるでしょうか?

明るくて、ハキハキしていて、笑顔もよくて。そんな人材が、いざ一緒に働くと、こういう受け答えをする。
そして個別に面談してみると「私は笑顔で挨拶しているのに、周りが挨拶してくれない。笑顔を返してくれない。」と周りに問題があると思い込んでいる。

中途採用で、このようなパターンに時々、出会います。

③実際に人間関係がこじれてしまってからの解決方法。

上記のような人材が中途で入ってきたら、現場は大変ですね。
どうコミュニケーションを取ったらいいのか、戸惑っているうちに、どんどん関係がこじれていく。

同僚・先輩・上司たちが、
「もう話したくない!けれど仕事だから必要最低限のことだけで関わろう。」と、割り切って接し始める。

そんな雰囲気の中、中途人材は孤立していきますが、孤立してもなお「この組織、最悪、この会社こんなもんなんだな。」と会社や自分以外の人に問題があり「自分は一生懸命やっているのに!」と本人は感じている。

もしくは、一緒に働いている全員が「もうこの人と一緒に仕事したくない!」と強く感じているのに、本人は「何も問題なく、うまくやっている。」と本当に感じている場合もあります。

いずれにせよ、もう修復不可能。
そんな『こじれに拗れた関係性』を解決することは可能です。

それは、人事部がある会社でしたら、人事部の人が。
まだ人事部のない会社でしたら外部の専門家が、このトラブルメーカー社員と定期的に面談を行うことで可能なのですが、行う内容が大切です。

その面談では、まず、とことんありのまま、トラブルメーカー社員の話を聴きます。
とことん、ありのまま話を聴いてくれると言う経験が少ない方が多いので、それだけで「この人は自分を理解してくれる人だ!」と感じていただけます。

実際は、
ただ「そうなんですね。」「それはどのような意味ですか?」「あぁ、そうなんですね。」などと・・・。

ただ聴いているだけで『理解している・受け入れている。』と言うわけではないのですが。

ジャッジせず、主観も横におき、ただ「そうなんですね。」と聴き続けることで、心を開いていただけます。どんどん自分の気持ちや状況をお話ししてくださいます。

ありのまま聴き続け、その合間に『適切な質問』を混ぜることで解決することが多いです。

適切な質問とは、例えば、

「その時、相手はどう感じているのでしょうか?」
「相手からは、どう見えていると思いますか?」

自分視点の強い方が多いので、このような質問を投げても、その答えは自分視点から出ていないのですが、それもありのまま受け入れつつ、そのような聴き方・対話を重ねていきます。

自分視点の、どんな答えを言っても「そうなんですね。」「あなたは、そう感じているのですね。」とただありのままを受け入れ続けます。

そして、
「あなたは、どうしたいのですか?」
「そうするためには、どうしたらいいと思いますか?」

などの質問で、本人の望みを明らかにし、そのためにするべきことも本人に考えてもらいます。

こちらからジャッジしたり、こうするべきだと教育することはしません。

とことん、ありのままを受容し(受容とは、理解したり受け入れることではなく、ただありのままを聴くだけ。)、適切な質問を投げて、その人の中にある答えの言語化を手伝うこと。それを、ただ続けることで・・・。

・本人が、自分視点で相手をジャッジしていたことに気づき、改善していく。
・本人が、自分の問題に気づかず、もっと自分が活かせる会社に転職する。(この場合、人や場所をかえ、似たようなことを繰り返してしまう可能性はある。)

と言ういずれか、もしくはそれらに近い解決に着地します。

会社として、本人が成長してくれて、周りのうまくやって、仕事で成果をあげてくれたら一番いいですし、成長しないなら、自己都合で気持ちよく辞めていただいて、よりいい人材を採用した方がいいと言う場合も多いです。

『たった一人の人』を中途採用しただけで、組織が険悪になる。
しかも、その『たった一人の人』は、見た目はできる人なので上層部は「いい人材を採用できた!」と思っているので、最初はどうしてこんな問題が起こるか分からない。

このようなトラブルメーカに対して、私は③で書いたことを実施し解決しています。

コツは、トラブルメーカー当事者の部署の誰か、ではなく。
人事部の方、人事部がなければ外部の専門家が、このような対応ができれば、社員も会社も一番いい着地点で解決可能です。