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岩田 徹

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第47回 改革と実行

2021/11/05

かつて「妖精」と呼ばれ、1984年のロサンゼルス五輪に
新体操個人総合で出場し8位入賞を果たした山崎浩子さん。
日本の新体操界を引っ張ってきた方です。
2004年にアテネ五輪出場を逃した団体総合の再建を依頼され、
強化本部長に就任されました。

新体操団体総合は、チームでの息の合った演技が大きなポイントとなることから、
企業の団体チームがそのまま選考されることが多かったようですが、
山崎さんが強化本部長になられまず断行したことが選手選考。

年代問わず全国にいる有望な選手を発掘するトライアウトを実行。
個々に素材のいい選手を集めた上で、年間350日と言われる共同生活の合宿で強化。
能力の高い選手の連携を強めることでチームを強化していきました。
チーム力を高め、世界選手権でも上位進出が狙えるほどに実力を磨きましたが、
ある世界選手権でチームとして完璧な演技を披露したにも関わらず
メダルを逃したことがありました。
そこで山崎さんは再度改革を実行。
新体操の強国ロシアで名コーチからの指導を受けるべく、
年間100日にも及ぶロシアでの強化合宿も断行。
フェアリージャパンという愛称のもと、
大手企業とオフィシャルパートナー契約を締結し、資金調達も実行。
その他にもスポーツ経験が全くない精神科医に依頼しメンタルコーチとして招聘。
俳優であり世界的ダンサーである方にも指導を依頼。
ウォーミングアップ方法などのヒントを取り入れたそうです。

17年間強化本部長として多くの改革を断行し、
2019年には世界選手権の団体総合で銀メダルを獲得。
先日日本で開催された世界選手権でボールとフープで銅メダルを獲得し、
有終の美を飾られて強化本部長を退任されました。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

新体操界を世界のトップへと導くために大きな理想を掲げ、
チーム力強化のために、従来の慣習を取り払い、採用活動からの見直しを決断。
素材のいい人材を集め、世界トップとの差を明確にした上で強化育成プランを実行。
世界で勝つために新体操一本に絞る環境を作り上げ、
共同生活で精神的な部分からの連帯感、連携を強化。
以前と比較しチーム力が高まっても世界トップへの君臨を目指し、
さらなる改革を行う実行力。
山崎裕子さんが行われたチーム強化、改革は、
企業経営そのものに大きなヒントとなるのではないでしょうか。