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岩田 徹

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第34回 東大野球部

2021/08/06

東京大学硬式野球部は、
早稲田、慶應、明治、法政、立教とともに東京六大学野球連盟に所属し、
春秋のリーグ戦を戦っています。

東大以外の5つの大学には、高校時代に甲子園で活躍したような
スター選手が野球推薦で入学してきます。

六大学野球を経由しプロに入団した選手もたくさんいます。
そんなリーグに国立大学の最高峰、東京大学が所属し戦っているのです。

野球推薦のない東京大学ですので、リーグでの通算成績は、
254勝1680敗58分、勝率は.131となっています。
六大学史上最多の94連敗という記録もあります。

この東大野球部で2013年から7年間、監督を務めた浜田さんという方がいます。
浜田さんご自身は高校野球が終わった後に東大を目指し、
模試のE判定から猛勉強を重ねて、現役で理科II類に合格し、東大で野球をした方です。

当然監督ですので勝利を目指しています。
ですが、選手の実力差を見ると一目瞭然、劣勢を強いられます。
野球の実力値が高い選手は他の大学に推薦で獲得されます。
またどれだけ実力があっても学力がないと東大には入れません。

そこで浜田監督が着目したのは、
文武両道で野球をやってきた選手たちでした。
六大学リーグは憧れの場所、ただ他の大学だとベンチ入りの可能性が低い。
東大であれば試合に出場できる可能性もあり、
高校時代に有名だった選手を相手に堂々と渡り合える。

ただし、東大へ入学するというハードルがとてつもなく高い。
そう感じている高校生に狙いを絞ってスカウト活動をします。
甲子園の予選で負けて受験勉強に挑むタイミングの高校球児を
夏休み期間にグランドに集め、体験練習を実施します。

その後、東大に入学するための具体的な勉強法まで教えるのです。
浜田さんのスカウトリストには、全国各地の進学校の野球部のメンバーの名前がずらり。
その中で東大野球部を目指せる人材に声をかけ、
東大合格のためのアドバイスをするとともに、
スター選手を相手に堂々と野球で立ち向かうロマンを語りかけ、
モチベーションを高め、人材を獲得していたそうです。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

圧倒的な実力差を少しでも埋めようと、
名門校のスカウト網には引っかからない素材のある選手に着目する点。
その選手を入学させるために受験合格という難関突破を支援する点。
そして何より、六大学野球という舞台で有名選手を相手に野球ができる
喜びを伝えて動機形成している点。

ターゲット設定、自社の強みや仕事の価値を表現するコンセプト、
そして具体的な戦術は、
採用に苦戦されている多くの企業のヒントになるのではないでしょうか。