最高気温40度以上を「酷暑日」と呼ぶことが2026年から正式に決まり、日本の夏は「暑さをどう耐えるか」だけでなく、「暑い時間をどう避けるか」を考える時代に入っています。こうした変化を商機へと結びつけているのが、ナイトタイムエコノミー(NTE)です。
象徴的なのがJR東海です。「そうだ 京都、行こう。」では、青蓮院門跡の夜間ライトアップや宝厳院の夜間貸切拝観、限定ディナーなどを用意し、「混雑回避×猛暑対策」を旅行商品に組み込んでいます。富士急ハイランドも、標高830メートルという環境を生かした夜の屋外映画館を展開。仏ホテル大手アコーの日本法人は、ナイトプールやテラス飲食など、ホテル内で夜まで消費してもらう体験を充実させています。マクセル アクアパーク品川の「アフター5チケット」も、夕涼みを明確に商品化した例です。
興味深いのは、こうした夜間化が単なる営業時間の延長ではないことです。三菱地所の丸の内では飲食店を巡る周遊券を販売し、東京駅八重洲口でも灯籠やプロジェクションマッピング、飲食、周辺回遊を組み合わせた企画が進められています。企業は夜という時間帯に、飲食や観光、移動を組み合わせ、新たな消費導線をつくろうとしているのです。
SHIBUYA109 lab.の調査では、夜に外出する理由の30%が「日中は暑いから」で、夜の平均消費額は昼より約600円高いという結果も出ています。猛暑は需要を減らすだけではありません。むしろ企業に、「時間」そのものを商品として再設計することを迫っています。これからの夏商戦では、何を売るかと同じくらい、「いつ楽しんでもらうか」が競争力を左右していきそうなのであります。