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伊藤 洋

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第14回 献身の三角形

2021/07/19

前職で私はメディア論の授業を担当していまして、そこでは主にマスメディアについて喋ってました。

ちなみに「マスメディア」って何か分かりますか?って、皆さんご存知ですよね!
テレビや、ラジオ、新聞、雑誌がいわゆるマスメディア4媒体と言われています。
近年だとそれにインターネットが入ってきてもおかしくないんですが、まだ「マスメディア」ではないと僕は思っています。

なぜかと言いますと、「マスメディア」は「マスコミュニケーション」のためのメディアなんです。
「マス」とはつまり「大衆」です。
「不特定多数の誰もがみんな」を対象にしたコミュニケーションがマスコミュニケーションで、それを伝える媒体が「マスメディア」です。

インターネットはまだ高齢者も含めたみんなが利用できるメディアでは無いんです。
今回のワクチン接種の予約見てもお分かりだと思うんですが、高齢者には日常に浸透していないんです。
なのでインターネットが「マス」メディアになるにはもう少し時間がかかると思います。

ちなみに「マスコミュニケーション」に対するものは「ミニコミュニケーション」です。
いわゆる「ミニコミ誌」とかは、特定少数を対象にしたコミュニケーションです。

これからは、マスを展開しながら、ミニにセグメントしたアプローチがマーケティングでは必至になると思います。

さて、今回から数回はそのマスメディアが起こした過去の事象から生まれたコミュニケーション理論のお話しをしようと思います。

アメリカが第2次世界大戦中にラジオ放送で戦時国債キャンペーンを打ちました。
ラジオの生放送で当時人気だった歌手のケイトスミスが、パーソナリティを努めたキャンペーンです。
内容はというと、、

①まず、パーソナリティのケイトスミスが、国のために戦争に行って戦っている戦士を応援するんです。
「私たちはアメリカ本土にいて平和に暮らしているけど、戦士は今も戦場で命を懸けて戦っている。少なくても私は彼らを応援して、彼らと一緒に戦います!何も出来ないけど、この国債を買って少しでも力になりたいです!」と意思表示します。

②それを聞いている自分以外の自分と同じ立場のリスナーが、ケイトスミスの行動に共感して、「私もせめて国債を買って軍資金に協力します!私も闘います!」と意思表示します。
それをラジオの生放送でケイトスミスが報告していきます。
「今、この放送を聞いてリスナーの皆さんがこれだけ国債を買って頂きました!」と。

③それを聞いている自分は「みんな買ってあげてるんだ!私と同じ立場の人たちが戦士と一緒に戦ってるんだ!」という気持ちになります。
そして、焦るんです。「私だけが力になってない。」と不安になるんです。
この不安を取り除く方法は、

④自分も国債を買うことで取り除かれるんです。
そして安心するんです。

「戦士の献身」「ケイトスミスの献身」「自分と同じ立場の自分以外の人の献身」
これが「献身の三角形」です。
自分もこの献身に参加することで安定した四角形にしようとするコミュニケーション理論が「献身の三角形」です。

そろそろ夏真っ盛りの季節です。
ここでお気づきになりませんか?
夏定番のある放送局が24時間通しで行うキャンペーン。

あれは、この理論を使ったものです。

それ以外でも、多様な場面で使用されています。

皆さんも、例えばクラウドファンディングなどを検討中であれば、この理論をご参考にしてみてはいかがでしょうか?