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高松 秀樹

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第263回:年末賞与に見る、日本企業の“変化の兆し”

2025/12/27

クリスマスイブに発表された経団連の「冬のボーナス妥結結果」は、ひとつの節目を示しました。
大手企業の平均妥結額は前年比8.57%増の「100万4841円」となり、比較可能な1981年以降で初めて100万円を超えました。
プラスは「4年連続」で、長らく停滞していた賃金水準に、新たな変化の兆しが見えてきたと言えます。

特に目を引くのは、製造業の好調ぶりです。
自動車(17.25%増)、化学(12.25%増)、石油(18.88%増)などが大幅な増加となり、グローバル需要の回復や製品価格の上昇が後押しとなりました。
加えて、春闘による月例賃金の引き上げがベースアップの流れを強め、企業の収益改善が着実に従業員へと還元されつつあります。

一方で、すべての業種が順調というわけではありません。
非製造業では商業や鉄道が堅調だった一方、建設業は16.77%減と大きく落ち込みました。
人手不足や資材価格の高騰、受注環境の変化といった構造的課題が、業績に影響を及ぼしています。

ボーナスの増加は、働く人々にとって喜ばしいニュースです。
しかし企業にとっては、“賞与で終わらない”持続的な人材投資が求められる時代に入っています。
100万円を超えた今回の結果は、単なる景気の反映ではなく、変化に応じた経営判断の表れとも言えるでしょう。
この勢いを一過性で終わらせず、真のモメンタムとして定着させられるかどうか。
来年、日本企業の真価がさらに問われることになりそうです。

みなさま、良いお年を!

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