来春に開催される選抜高校野球の参考資料となる秋の大会が各地で開催されました。
東京都大会では名門帝京高校が16年ぶりとなる優勝を飾り、
甲子園出場を大きく手繰り寄せました。
出場が決定するのは来年になりますが、
東京都1位として選出される確率はかなり高くなりました。
帝京高校は多くのプロ野球選手を輩出し、
春14回出場(優勝1回)、夏12回出場(優勝2回)という成績を誇る強豪校です。
しかし近年は関東第一、二松学舎大付属など、他の強豪校が甲子園に出場することが多く、
春は2010年、夏は2011年を最後に、甲子園から遠ざかっていました。
長年チームを率い、帝京高校を強豪校に育て上げた前田三夫監督が
2021年の夏を最後に勇退し、同年秋からチームを引き継いだ金田優哉監督。
偉大すぎる前監督の後を継ぎ、多くのOBなど関係者も多い中、
現在40歳という若さで名門校、強豪校を率いるその重圧は計り知れません。
ここ数年も甲子園手前まで勝ち上がるも、あと一歩で逃すことが多く、
重圧はより大きくなっていたと思います。
そうした中で遂に果たした16年ぶりの優勝。
最後の打者を打ち取り優勝が決定した瞬間、
ベンチにいた金田監督は大粒の涙を流されていました。
その後、優勝監督インタビューの冒頭、16年ぶりの優勝に嬉しさを表現するのではなく、
試合中に自校の選手が死球を受けた際、
相手投手を威嚇するように感情を露わにしたことに対して、
「本当にすみませんでした。」
と、相手校である関東一高ベンチに向かって帽子を取って深々と頭を下げました。
単に相手に勝つのではなく、高校野球というスポーツにおいて、
相手校への敬意を欠く行動を金田監督は良しとせず、
高校野球を通しての人間形成を大切にする金田監督らしいシーンでした。
前任者の実績や功績、周囲からのプレッシャーを受けながらも、
自分の軸をしっかり持ち、創意工夫、改善を重ねて組織づくりを行う。
春の甲子園に帝京高校のユニフォームが帰ってくるのを楽しみにしながら、
金田監督率いる帝京高校に注目して甲子園を観戦したいと思います。