10月11日・12日、東京タワーで開催された「ベイブレード」の世界大会が、大きな注目を集めました。
「現代版ベーゴマ」とも呼ばれるこのホビーは、1999年の発売以来、累計5億6000万個以上が販売され、世界80カ国以上で親しまれています。
今回の大会には、21の国と地域から1万5000人がエントリーし、予選を勝ち抜いた33人が頂点を競いました。
特筆すべきは、今回初めて“大人も参加できる枠”が設けられたことです。
競技の合間には、国境や文化を越えた交流が自然と生まれ、互いの技術を称え合う姿が印象的でした。
デジタル化が進み、家庭用ゲームやスマートフォンゲームが主流となった今もなお、こうした「リアルな場でのつながり」が多くの人を惹きつけているのです。
ベイブレードは、単なる玩具の枠を超え、遊びを通じた国際的なコミュニティの形成を促すプラットフォームへと進化しています。
こうした現象は、カードゲームやミニ四駆など、他のホビーにも共通して見られる傾向です。
コロナ禍を経て、リアルな出会いや対面の交流の価値が再評価される中、このような場の存在は一層求められていくのではないでしょうか。
また、タカラトミーによるグローバル展開の戦略も注目に値します。
日本国内でのヒットを起点に、各国の文化や遊び方に合わせたローカライズを実施し、持続的なブランド価値の確立に成功しています。
これはまさに、「日本のモノづくり」と「マーケティング」の融合を体現した好例と言えるでしょう。
そしてそれこそが、単なる一過性のブームにとどまらず、「世界で長く愛されるホビー」へと昇華させた大きな要因となっています。
ホビーの形が変化しても、人が「遊び」を通じて他者とつながりたいという本質的な欲求は変わりません。
ベイブレードの世界大会は、その普遍的な価値を改めて私たちに示してくれたように思うのであります。