第201回 病気を治したくない人たちの対応
2025/03/10
職場で「鬱になりました。」と診断される方々の中で、大きく分けると、真面目にやり過ぎて鬱になる方と、他責が酷過ぎて鬱になる方がいるなぁと感じています。
もちろん、鬱になる原因は多岐にわたるので、もっとたくさんの要因があると思います。
大きく分けても、他にも分類があるかもしれません。
ただ、私の主観として、現場に入ると、どうも、この2つのタイプに分かれるなぁという実感です。
実際にあった、いくつかの事例を思い出しながら、説明してみます。
本当はもう少し複雑ですが、なるべくシンプルに書いてみます。
真面目にやり過ぎて…
実は、私も仕事量が多過ぎて、朝からずっと集中して夜になっても仕事が山積み!という状況の時は、今でも鬱っぽい症状になることがあります。
その時には、「あ!やばい!」と気づいて休憩したり、リフレッシュしたりして未然に防いでいます。
特に、お客様の要望を聞いても聞いても、永遠に要望が出てきて、まるで『地獄の石積み』のような気持ちになる時は要注意です。
自分の好きな仕事でやりがいを感じていても、「あ、やばい!」ってなることがあるので、「仕事だから頑張らなきゃ」などの責任感でやっている場合はもっと大変かと想像します。
『寝不足が続いて、それでもやらないといけない!』
短期だったら大丈夫でも、それがいつ終わるかわからない、ずっと続く状況だと、少しづつ心が疲れて、気づいた時にはもう…。
真面目に頑張り過ぎて心が悲鳴を上げてしまうということがあります。
心は鬱状態にまで疲れてしまうと、元気になるのに少し時間がかかります。
私も30代の頃に2回、ひどい鬱を経験しています。
だけど、頑張り過ぎて、真面目にやり過ぎて、という場合は、(鬱中は、全く思えないくても)無意識の根底には、「仕事したい!元気になりたい!」という願いがあります。
だから、適切な休養や対応で、時間がかかっても回復していけると思うのです。
他責が酷過ぎて…
一方で、他責が酷過ぎて鬱になる方もいると思います。
「こんなに頑張っているのに、わかってくれない!」
「こんなにやっているのに、全く認めてくれない!」
「〜のに!〜のに!」という気持ちがどんどん重なっていって、相手を責め始めます。
責めると関係性が悪化して、余計に「なんでわかってくれないの!」という気持ちが増大していきます。
「『〜のためにやる・ここまで頑張る』のは、自分の選択だ!」という部分を感じられずに、「〜のに!」という心理状態が続きます。
このような社員さんに「あなたはどうなったら嬉しいのですか?」と質問を投げても、「〜しないといけないから、こんなにやっている!」という答えしか返ってこないことが多いのです。
責任感もある。頑張ってもいる!
だからこそ、もっと幸せになってほしい!心からそう思います。
だけれども、他責(自責の場合もある)が酷すぎる方は、病気になっても「治りたくない」と無意識で感じていることもあります。
そして涙ながらに「〜のせいだ!」「〜のに!」と訴えてくるんです。
他責をしていれば、「自分は悪くないんだ!」という立場に安住できます。
また、自責の場合でも「自責という正当化」ができます。
さらに、鬱になれば周りは優しくしてくれます。
病気を治したくない人たちの対応
疾病利得(しっぺいりとく)という言葉があります。
精神疾患などの病気に罹患することで得られる生活面でのベネフィットや社会的、あるいは経済的な利益の事です。
本人は、頭のなかでは表面的に自分の病気を治したいと思っていても、本音の潜在意識のなかでは治りたくないという意識があるんです。(無意識だから手強い)
ある社員さんのことで、もちろん社名も名前も伏せて、精神科のお医者さんに相談したところ「本人が治したいと思っていない場合は難しい」と言われました。
さらに、世話を焼けば焼くほど、優しくすればするほど、ベネフィットに感じて治したくない思いを強めてしまう場合がある、と。
では、どうしたらいいのでしょうか?
もちろん、精神科や心療内科など専門医にかかることは絶対に必要です。
専門医と連携をとりながら…。
まず、恨みつらみ(こんなにやってる!わかって、わかって、わかって…)の部分を、とことん出し切る必要はあると思います。
恨みつらみで、心の中に少しも余裕がないんです。
自分の幸せについて考える余裕を少しでも作るためには、心を満たしている恨みつらみを出し切らないと難しい。
そのために、永遠に続く愚痴・恨みつらみをとにかく吐き出させること。
これは身近な人には、とても辛い時間に感じるでしょう。
カウンセラーなどの、専門家の力を借りると良いでしょう。
少し心が安定してきた頃に、一緒にこれまでのことを労うというフェーズも必要です。
こんなに頑張ってきたんだということを、周りだけが認めても心は安定しません。
自分が自分を認めてあげない限り永遠に続いてしまいます。
そのために「一緒に」が必要です。
十分、労うことができたら、
「自分がどうしたいのか?」「自分はどうありたいのか?」を少しずつ、掘り下げていきます。
そこからしか、自分の人生が始まらないということを、どこかで実感する必要があります。
このように、病気を治したくない人たち(疾病利得を無意識で感じている人たち)の対応は、難しく、時間もかかります。
寄り添いすぎると、疾病利得を助長させてしまうし、寄り添わないと悪化してしまうから。
だから、今は疾病利得かもしれないけれど、でも、
「自分の人生を歩める人なんだ!」ということを心から信じて関わることが、まず大前提。
そして専門医と連携しながら…、
その上で、
①恨みつらみを全て出し切る。
②本人が自分を十分に労う。
③「自分がどうしたいのか?」「自分はどうありたいのか?」そこから人生をリスタートしていく。
鬱になった本人も大変ですが、それを支えるご家族、身近な方が大変だと思うのです。
周りの方が健康でいるためにも、まずは専門医にかかる。
そしてカウンセラーなどの専門家に頼ること。
あ、もちろん『疾病利得』が『いい・悪い』ではないんです。
メリット・デメリットがあります。
それに、どのような理由であっても『疾病利得』という状態になることはあり得ます。
この記事で言いたいのは、『疾病利得』ということを理解して対応しましょう!
ということでした。
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