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益田 和久

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第197回 情報の見極め

2024/12/12

この2ヶ月の間で注目された選挙がいくつか行われました。
衆議院選挙は政党の戦力分布図に大きな変化があり、国会運営や国民生活も一つのターニングポイントを迎えました。
アメリカ大統領選挙ではトランプが復権し、イーロンマスクが政権幹部に加わるなど、今後の国家運営が興味深いものになりました。
また隣国では戒厳令が発令されたり、中東では長きにわたる独裁政権の終焉を迎えたりと、海外では国家を揺るがす出来事が断続的に起きています。
これらのことを(国政も含めて)対岸の火事とせず、注目していきたいと思います。
ただ国内外がそのような状況にある中、国内のSNSで賑わっているのは、兵庫県知事選挙のようです(苦笑)

事の経緯は(私自身が)真偽が判断できませんし、事実を明確にすることが今回の目的ではないので割愛しますが、ハッキリしているのは情勢が圧倒的に不利といわれていた元職が勝利したということと、想定外の元職勝利によって、情報機関やSNSも大揺れになっていることです。
元職の支援者、アンチはそれぞれ手持ちの情報でSNS上での非難合戦を繰り返していますが、今回それと同じく話題になっているのが、新聞・テレビなどの「オールドメディア」が、インターネットをプラットフォームにしている「ニューメディア」に負けたという論調。
私的には、オールドメディアが報道している元職に纏わる情報を”デマ”として切り捨て、ニューメディアを中心として、自身の把握している情報を、様々な角度や視点、手法で流布した政治家1名に全てを持っていかれた印象が強いです。

オールドメディアもニューメディアも、有権者(視聴者)に対して、「情報は鵜呑みしてはいけません、一方向の情報だけでは不十分です、情報は各人が責任を持って見極めていきましょう」的なことを言っていますが、現状を考えると簡単なことではないです。
同時に新入社員や若手社員向けに情報活用の講義を展開していますが、そこで話す内容も改めて見直さないといけないのかなと思いました。
講義内容のポイント(視点)に沿って検証してみました。

まずは「情報源の信頼性を確認する」ということ。
一般的は、公式サイトや信頼できるニューメディア(大手新聞、テレビ)からの情報は、一般的に信頼性が高いと言っていますが果たしてそうだろうかと。
新聞やテレビは、虚偽の報道はしないにしても、偏向報道や印象操作を感じることもしばしば。
信頼性という観点では疑問符がつきます。

同様に「情報発信者の経歴や専門知識の確認」とありますが、これも報道の内容次第かなと。
その専門家なりの主張もあるので、必ずしもフラットな情報でないときもあります。
この点については「同じ情報が複数の信頼できる情報源で報じられているかの確認」になってくるわけですが、今回このことが焦点になったような気がします。
オールドメディアが同じ情報を発信したことにより一定の世論が醸成されていることに対して、ニューメディアが反対の情報をつきつけた。
判官贔屓も多少はあったと思いますが、完全にオールドメディアが「権力者側、既得権益側」というイメージが日々増幅し、インターネットの力もあって、圧倒的不利だったはずの元職が「ゼロ打ち当確」が出たという印象を受けています。(事実関係がわからないのであくまで所感です)

情報は日々更新されており、且つフェイクや個人のつぶやきも混在するので、具体的な根拠やデータに基づいているのかどうかも精査は難しい。
またSNSは自分が好む情報がどんどん提供されるので、バイアスがかかっているかどうか、自分自身が区別がつかなくなることがあります。
情報が多すぎてファクトチェックに追いついていない(自分が確認できていない)状況が、少なくとも私の周りでは散見されます。

今回の事象を通して、情報活用の講義もバージョンアップしなくてはいけないとつくづく感じました。
教科書的理論だけでは追いつかないような気がします。
またピンポイントの講義で習熟できるわけではないので、継続的な研鑚は不可欠です。
そして何よりも、ITリテラシーを高めることだけでなく、一般常識や教養を高めていかないと、本当の意味での情報の見極めはできないと思った今日この頃です。