数年前、サッカー日本代表の南野拓実選手のインタビューを拝見しました。
日本代表が世界でトップを目指すためには、どういうチームづくりが必要か、
というテーマで、インタビュアーの質問に答えていました。
代表チームでよく議論される、チーム戦術の熟成度を高めて相手を倒すのか、
それとも強烈な個の力を磨いて相手を打ち倒していくのか。
サッカーは複雑なスポーツですし、この2つの解決方法のみではないと思いますが、
当時も今もヨーロッパのトップリーグで活躍する南野選手はこう答えました。
戦術の熟成度が高い代表チームとして挙げられるのは、例えばスペインやドイツ。
国内リーグのレベルが高く、かつ、バルセロナやバイエルンミュンヘンなど、
毎年優勝や優勝争いする常勝チームがある国。
国内トップ選手が主軸で、戦術が明確なチーム。
そのチームをベースとして、要所要所に海外で活躍する選手を馴染ませるチーム。
ベースとなるチーム戦術が浸透しており、要所に入る選手のレベルも高い。
一方、強烈な個の力を持ち、短期間でチーム編成し相手を圧倒するチームとしては、
ブラジル代表が挙げられる。
代表選手のほとんどがヨーロッパのトップリーグで活躍し、
かつそのリーグでのベストイレブンに選ばれるような選手ばかりでチームを編成。
チームの融合に時間はかかるものの、選手個々が戦術と言われるようなチーム。
南野選手は世界基準で見た時に、日本代表がスペインやドイツのような、
Jリーグの常勝チームをベースにチームづくりをする難しさを語っていました。
Jリーグは毎年優勝チームが変わったり、上位にいたチームが翌年は下位にいたり、
玉石混交のリーグです。
しかも活躍した選手は海外移籍するのが当たり前になっています。
だからこそ、ブラジル型のチームのように、個々がトップレベルのリーグで研鑽し、
個の力を磨くとともに、トップレベルのサッカーを当たり前の基準に置くことが
大前提であると力説しました。
その上で、日本人の特徴、良さを掛け合わせ、日本らしいチームづくりを目指すべき、
と語られていました。
今の日本代表チームに選出される選手の所属チームは、一部を除いてほぼ海外です。
普段から高いレベルで練習や試合を重ね、トップレベルを肌感覚で知っています。
その選手たちをどう融合させてチームを一つにしていくのか。
そのマネジメントを機能させているのが現森保監督なのだと思います。
2元論で語られるものではないかと思いますが、
企業経営、組織づくりにおいても、チーム戦術にあった人材を確保し強化するのか、
それとも強烈な個を組織に馴染ませ、全体をまとめ上げるマネジメントを行うのか。
スポーツの視点で組織づくりを考えると、採用戦略も組織戦略も、
いつもとは違った角度で考えられるかもしれませんね。