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深山 敏郎

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第175回 困ったときの老荘だのみ エピソード75

2024/10/22

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの174回目では、「天網恢恢、疏にして失わず(てんもうかいかい、そにしてうしなわず)」を検討してきました。
老子は言います。
「天道は、自分を主張せずすべてのものを統括し、命令せずにすべてのものを適応させて、招かずにすべてを帰着させる。作為ではなく秩序を形成するのだ。天の網は粗いのですが、取り落とすことはない」と。

今回は「刑罰無用のこと」です。
老子は言います。
「天道こそ、いっさいの秩序の根源である。『道』にはずれた行為には、かならず破局が目立つ。天道に代わって人を罰するのは、大工をまねて木を削ることに等しい。しろうとが大工をまねれば、けがをするのがおちだ」と。

「刑罰無用のこと」とは何か

今回は老子の言葉「刑罰無用のこと」の意味をご一緒に考えましょう。

老子は言います。
「悪政のもとで人民が生きることに絶望してしまえば、刑罰は何の効果も持たない。善政のもとでたまに秩序を乱すものが出ても、処罰してみせしめにする必要はない。天道こそ、いっさいの秩序の根元である」と。

「刑罰無用のこと」をビジネスにあてはめてみると

この言葉を私たちのビジネスにあてはめてみましょう。
会社には表彰制度もあることでしょう。
また、逆に懲罰も。
もし経営者や管理者が客様へと同様、従業員すべてのためにきちんとビジネスをしていれば、そこではいたずらに表彰制度で競争させてひずみを生じさせたりせず、少しくらい標準的なプロセスに従わない人がいても、大目にみる、ということになるでしょう。

経営者、管理者は部下のマイナス面に目を光らせ、自分が他者のためにしっかりと仕事をしているかどうか深く考えることをしなければ、職場はよくなりません。
そして業績も同様です。
つまりは本質をきちんと考えて行動することが、組織の長には求められるのです。
もちろん、コンプライアンス違反などを見逃すという意味ではありません。

逆に業績を無理に向上させようと煽ることは、長期的にみれば無理なことをし、組織のためにもならないということでしょう。
私たちは常にこうしたことを考えて組織運営をしたいものです。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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