例年8月から9月にかけて若手社員の研修をする機会が多いのですが、自分の若手社員時代のことを話すことがあります。
必然的に自分の若かりし頃を振り返るわけですが、仕事も生活の様相が随分と変わったなぁと感じます。
それだけ変わった大きな要因は携帯電話やインターネットツールの普及ではないでしょうか。
私たちの生活にもたらしてくれたものはいろいろありますが、私的には「つながりやすくなった」ことでしょうか。
世界中どこにいても連絡はとれるし、メールやチャットは思いついたときにメッセージを送れます。
SNSはこれまで全く居場所がわからなかった人や御無沙汰している人を探し出してくれました。
一度も会ったことがない人とでも、共通の知人や友人、共通のテーマを通して会話を楽しんだりしています。
いずれにしても、人とつながりやすくなったことは間違いないと思います。
一方、つながりやすくなったことで面倒なことが起きているのも事実です。
迷惑メールや詐欺サイトなどのトラブルは勿論のこと、つながりたくない相手や状況に遭遇してしまい、ストレスを感じる方も多いのではないでしょう。
Facebookでリクエストがきたときに、困ったなぁと感じたことが何度かありました(苦笑)
仕事でも、つながりやすさによってストレスを感じることがありますね。
勤務時間外の電話やメールが代表的かもしれません。
休日も業務用携帯が手放せない、休日に上司からのメールで気が休まらないといった話はよく耳にします。
それが離職や休職の原因になっていることも多いと聞きます。
企業や団体も働く人に配慮して「つながらないようにする」対策も講じていく必要があります。
実際に、休日や終業後など業務時間外に仕事の連絡に返答しない「つながらない権利」に企業が対応しているケースも出てきました。
空調設備のオーテックは個人の業務を部署全体で担い、連絡なしでも仕事が回る仕組みをつくりました。
時間外に個人の携帯にかかってきた連絡は会社へ転送されるしくみを導入し、取引先にもそのことを周知したようです。
取引先の満足度を下げないように、当該しくみの導入にあたり、各社員が抱える仕事を部署内で共有し、他の人員でも代替できる体制を整えたようです。
部門によっては休日出勤→平日代休が多いところもあるようで、その場合平日の代休のときに電話がかかってくることもあり、ストレスを抱える社員も多かったようです。
仕組み導入後は、「休日に仕事の連絡を確認する回数が大幅に減った」と社員からは好評で、取引先からのクレームもないようです。
このような流れに追随する企業も着実に増えているようで、22時以降と休日の社内メール自粛や業務時間を5時~22時と定めそれ以外の時間の連絡を禁止等といった事例もありました。
並行して、働きやすい環境をつくるには連絡を制限するだけでは不十分という声もあることも事実です。
専門家も「業務の属人化を防ぐ仕事の工夫や、評価など仕組み全体も見直す必要がある」と指摘しています。
現時点で、職場や個人が抱えているストレスや不具合が想定以上にあることは確かです。
そういったストレスや不具合を解消するためには、ルールの制定とそれを補うためのしくみ、また各人のスキルアップ、チーム内の信頼関係構築など、いろんな要素が絡み合って機能するのではないかと感じた今日この頃です。