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深山 敏郎

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第166回 困ったときの老荘だのみ エピソード66

2024/08/20

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの165回目では、「千里の行は足下より始まる」を検討してきました。
老子は言います。
「事件は起こらぬ先に処理し、秩序は乱れぬうちに収拾することが肝心である」と。

今回は「小知に頼れば国政は乱れる」です。

「小知に頼れば国政は乱れる」とは何か

今回は老子の言葉「小知に頼れば国政は乱れる」の意味をご一緒に考えましょう。

老子は無為自然を政治にもあてはめて考えます。
真の賢者は、小賢(こざか)しいこと、自分が賢者であるということを誇ることをしません。
従って、民衆の望む通り、自然に任せた政治をします。
それこそが国を栄えさせる唯一の方法であるというのが、老子の考えです。

小賢しい知とは何か

老子は小賢しい知を用いることで国が乱れるといいます。
理屈で考え、こうなるはずだと少数の小賢しい考えをもつ者が考え、それを頼って政治をすることは国が乱れる原因になるということです。
それは小賢しい知には、必ず私心が入るからです。
個人のエゴで知を働かせることによって、国はよくならないのです。

これを企業経営や組織のマネジメントにあてはめて考えると、それは視野の狭い人間が考えることには限界があり、小賢しい考えしか出てこないということです。

知に正しく対処できるのは聖人のみ

老子は言います、「知に正しく対処できるのは聖人のみである」と。私心のない聖人だけは「道」に則った政治、組織運営が出来ます。心の持ちようがゆがんでいる場合には、うまくはいかないものなのです。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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