パリ五輪が開幕しました。
連日夕方から夜の時間帯に様々な競技が放送され、
メダルのかかる戦いは日本時間の深夜帯での放送となり、
眠気と戦っている方も多いのではないでしょうか。
開幕して1週間ですが、日本代表選手の活躍に胸躍らされる毎日を過ごしています。
やはり必死の努力で掴み取った4年に1度の大舞台で、
トップアスリートが紙一重の戦いを繰り広げているのを見るのは
スリリングですし、それぞれにドラマがあり面白いです。
たくさんの競技で印象に残るシーンはあるのですが、
私が中でも強く印象に残ったのは、男子体操団体です。
東京五輪で0.1ポイント差で金メダルを逃した日本男子体操チーム。
前回同様、王者中国との争いとなりました。
日本には、前回個人総合で金メダルを取った橋本大輝選手がいます。
が、昨年、腰を疲労骨折したり、今年に入っても怪我をするなど、
決して万全と言える状況ではなかったようです。
実施に予選の際、得意種目であり、
前回の東京五輪でも種目別で金メダルを獲得した鉄棒で、
橋本選手は着地に失敗し、大きな減点をされました。
団体決勝でも、あん馬で落下し減点。
決勝の最終種目である鉄棒を前に、首位中国と2位日本との差は3ポイント。
大きくリードされていました。
そして迎えた最終種目の鉄棒で波乱が起こりました。
中国の2番目選手が鉄棒から落下してしまい減点。
立て直しを図り再度チャレンジするも再び落下。
ここで2点減点となり、次の演者である橋本大輝選手がミスなく演技を終了。
橋本選手への拍手と共に、日本の勝利が近づいてきたことで、
会場が大きく盛り上がりました。
しかしここで橋本選手が取った行動に、私は感動しました。
それは大きく盛り上がる会場全体に向けて、
橋本選手が人差し指を立てて口の前に当てて、静まるように促したのです。
さらに両手を大きく下げるようにして、落ち着くように依頼をしました。
最後に演技する中国の選手の集中を遮らないように、
中国の選手が最高の演技ができるような環境を作るようにしたのです。
4年に1度の大舞台。
0.1ポイントで負けた前回大会。
厳しいと思われた3ポイント差の逆転。
大きくガッツポーズして、会場の興奮を煽るくらいの精神状態でもおかしくないはずです。
それが真逆の姿勢を取ったことで、橋本選手の偉大さを感じました。
相手のミスを喜んだり願ったりするのではなく、
お互いがその場で最高の演技を出し合い、
高いレベルで鎬を削りながら勝ち取る金メダルだからこそ価値が高い。
そんな瞬間を見ることができました。
その後の表彰式でも3位のアメリカチームを含め、勝者をリスペクトし讃える姿がありました。
スポーツの良さを改めて感じるとともに、
ビジネスにおいてもこうした姿勢や取り組みができないか、考えさせられたシーンでした。
まだまだパリ五輪は続きます。
日本選手団のさらなる活躍を楽しみにしています。