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高松 秀樹

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第189回:大地の子の終幕

2024/07/27

「日本製鉄」が、鉄鋼業界、世界最大手・中国の「宝武鋼鉄集団」の子会社「宝山鋼鉄」と行っていた合弁事業を解消すると発表しました。

2004年に始まった合弁事業(主に日系自動車メーカー向けの鋼板製造・販売など)は、20年と決めた契約期限が本年8末に迫り、事業の見直しを含む検討が進められていましたが、中国国内では顧客である日系自動車メーカーの電気自動車(EV)対応の遅れなどで苦戦しており、生産能力を約7割減らすとのこと。

それにより「日本製鉄」は、折半出資の合弁会社「宝鋼日鉄自動車鋼板」の持ち分を「宝山鋼鉄」にすべて売却するようです。

かつて「新日鉄」だった1970年代に「日中経済協力の柱」として中国での「近代製鉄所建設」を支援するなど、「中国の近代化」に大きな役割を果たし、また、その様子は小説「大地の子(作・山崎豊子)」のモデルになるなど、半世紀以上にわたり続いていた日中経済協力の象徴の終幕が近づいているのですが、「USスチール買収問題」で、「アメリカをとるのか?中国をとるのか?」と突き付けられている状況もあるので、米中の対立関係も背景にあるのでしょうね。

そんなことを考えながら、久しぶりに「大地の子」を手に取った夏の夜なのでありました。