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岩田 徹

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第176回 木の上に立って見る

2024/04/26

部下が悩んでいる時、スランプに陥っている時、
上司であるあなたは、どこまで手を差し伸べますか?
それまでの経緯や、その場その場の状況で変わってくるとは思いますが、
上司として部下をどう支援していくのか。
部下が苦境に立たされている時の対応で、部下の成長を促進するか、
それとも阻害するかが変わってきます。

サッカー日本代表の元監督である岡田武司さん。
この4月から愛媛県に独自のカリキュラムを持った高校を作り、
初めての新入生を迎え入れたばかりです。
岡田さんが言うには、部下育成も子育ても近しいものがあるとのこと。
岡田さんは日本代表だけでなく、Jリーグのチームも、
そして海外でも監督として指揮を取ったことのある方です。
監督をされていた時にコーチ陣にも共有していたこと。
それは、「育てるなんておこがましい。選手自身が育つのを阻害しないようにしよう。」
ということだったそうです。

監督やコーチは、チーム方針を伝えたり、指導したり、アドバイスしたりするのが役割です。
その上で岡田さんは、自らが選手を育てる、という考えではなく、
選手が自主的に育つ努力をしているのを阻害しない環境を作るのを重視。
例えばうまくいかず悩んでいる時。スランプに陥って練習でもうまくいかない時。
選手は何かを求める表情や姿勢を見せることがあるそうです。
そこで事細かく指示をして育てようとすると、短期的には良くなる可能性もある。
一方で、次にうまくいかなかった時に自ら這い上がってくる力を持てず落ちていく、
という経験をされたそうです。
選手が悩み苦しみ、そこから這いあがろうと手をかけている時に
それを無理やり引っ張り上げず、そっと見守ってほしいとのこと。
そうすることでその選手は自ら成長の階段を登るそうです。
子育てをする親の立場でも、事細かくああしろ、こうしろと言ってしまいがちですが、
それでは子どもの意志が育たず、自ら立ち上がることができない、と。
どうしても口を挟みたくなりますが、育とうとしている子どもや部下を邪魔しないことも
大切だと改めて感じました。
親という漢字は、木の上に立って見ると書きます。
転んだり、怪我したり、誰かと衝突したりするかもしれません。
それでも親というものは、木の上に立って温かく見守ることを、
漢字でも表現しているのかもしれませんね。