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深山 敏郎

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第131回 困ったときの老荘だのみ エピソード31「軍隊の本質」

2023/12/19

コラムの130回目では、老子の言葉「強いものは必ず衰える」を検討してきました。
戦(いくさ)上手は他者と争わず、目的に集中する」と老子はいいます。
聖人は争いを避け、目的を達成するといいます。

今回は老子の言葉「軍隊の本質」をご紹介します。

「軍隊の本質」とは

老子は、軍隊の本質を慶事と弔事の上座・下座に例えます。
慶事においては左を上座ととらえ、右を下座ととらえるが、軍隊つまり弔事においては逆で、左が下座、右が上座としています。
これは軍隊というものは元来が不吉なものであり、絶えず喪に服しているためだといいます。

このような上座・下座の概念は中国南部で用いられるために、老子が中国南部の出身者ではないかといわれているそうです。

老子によると、もし戦に勝っても喪に服さずに、名誉なことと考えると、それはただの「人殺し」なのです。

「他者と争い、勝利する」とは

こうした老子の考え方に基づくと、「他者と争い勝利するということは、名誉なことではなく恥ずべき事である」ということにはならないでしょうか。
他者と争うということ自体が不吉なことであり、聖人はおろか君主(老子は聖人を理想的な生き方ととらえ、次に君主としています)にも満たない愚かな生き方ということになります。

こうした「ものごとの本質を理解する」という基本姿勢を身に着けた上でビジネスや日常生活を営んでいきたいものですね。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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