かつての日本における「住宅のトレンド」を創り上げた「公団住宅(=現:UR都市機構)」ですが、
今では
・駅から遠く、立地が不便
・エレベーターがないなど、設備が古い
・居住者の多くが高齢者ばかり
・団地と言う響きも古くさいイメージ
などもあり、その人気は急降下していました。
そんな、ある意味、時代の流れの中で「忘れ去られていた存在」である「公団」を「資産」としてリニューアル活用しはじめているのが、「無印良品」でおなじみの「良品計画」さん。
これまであまり手がつけられていなかった「郊外の団地」を「MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト」として、2012年に大阪の3団地からスタートし、東京・名古屋・福岡へとエリアを広げ、団地をまるごとリノベーションしていく企画を進めているのです。
対象は「UR」が管理運営している団地であり、企画設計・PRを「良品計画」が担当してデザイン料を受け取り、「UR」が依頼した工務店が仕上げて賃貸に出すという形式をとっていますが、このプロジェクトが「シンプル族」などと呼ばれる、「無印良品」や「ユニクロ」のようなシンプルなアイテムを活用し生活する、お金があったとしても「質素に暮らすことがカッコ良い!」と考える若年層を中心に、注目を集めているようなのです。
エレベーターもなく、古いイメージのある「団地」ですが、若年層にとっては、そんなに生活には困らない。
また、住棟の間隔を空けて、ゆったりとした緑のある空間を設けていたりと、今では手に入れることが簡単ではない空間もある。
それらを「MUJI」などがリ・デザインして団地を再生することで、こうしたことに魅力を感じる人たちを引き寄せているとのこと。
「シンプルな暮らしの魅力」に気づいた若年層、シンプル族たちは、たとえ今後景気が回復しても、浪費的な生活にはなかなか戻らないでしょうが、このような「古い資産や商材」と「新しい発想」とのコラボレーションは、今後、どんどん生み出されるのでしょうね。