この4月、「味の素」さんに「マーケティングデザインセンター」が発足されました。
「味の素」の業績は絶好調で、2023年3月期は3期連続で最高純利益を記録しています。
海外では、円安効果に加えて調味料の値上げを進めて業績を伸ばし、ヘルスケア事業も2桁成長が見込まれるほど好調。
そんな状況だからこそ、新たなヒット事業を生み出すための取り組みをスタートさせたようですが、国内食品事業に目を向けてみると、定番の「ほんだし」「クックドゥ」「鍋キューブ」などに続く、10億超のヒット商品が生み出せておらず、トップである、藤江社長は「縦割りの組織」での運営を、課題のひとつと感じていたようで、「社内に横串を刺してほしい」と、「ザ★チャーハン」など、数々のヒット商品に携わった社内有数のマーケター岡本常務に指示を出したのです。
食品業界に限らず、大手組織には、
・組織が大きくなりすぎて、各部署との横串が通っていない
・自分の専門性に自信を持ち過ぎて市場の声を聞いていない
・過去の勝ちパターンにこだわり、新しい手法にチャレンジしない
・書類作りばかりやっていて本当のマーケティングをしていない
などの課題が、共通して存在しています。
ライバルである「日清食品」さんの強さは1990年から採用している「ブランドマネージャー制度」。
新製品開発から管理まで全責任を負うことで、「カップヌードル」をはじめとするブランディングを強化、「完全メシ」といったヒット商品も生み出しています。
消費者とのコミュニケーションでも、インパクトのあるCM制作、とともに各種SNSを活用し市場から多くの共感を獲得しています。
「縦割り組織の廃止」をライバル企業と比べて、30年以上遅れて取り入れた、巨大企業の今後の動きに注目が集まっています。