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岩田 徹

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第125回 止める、蹴る

2023/05/05

先週に引き続きサッカーの育成者、風間八宏さんのお話。
風間さんの指導で有名なのが、「止める、蹴る」
サッカーの基本であるボールを正確に止める。
止めたボールを蹴る。
基本の基本ですが、風間さん基準で見るとプロ選手でも正確にボールを止めて、
蹴れている選手は一部になるそうです。

次のプレーに移りやすく、周囲の様子を観察できるところに正確に止めること。
パスを出す味方の選手の走る方向、スピード、次のプレーに移りやすいところに
正確に蹴ること。
この定義で数本のパスを繋げることで、最終的にゴールを決める選手の時間を
0コンマ数秒でも生み出すことでプレーの選択肢や時間的余裕が出てきます。

もちろん、どれだけ練習しても、実際の試合においては相手から受ける圧力も違いますし、
時間と共に疲労が溜まり、頭のイメージと実際のプレーで微妙な誤差が生まれたり。
だからこそ奥が深く、
普段の練習からどこまで精度を高められるかを追求しているのだと思います。

実際にプロ選手の試合を見ていると、わずかなトラップの差、ボールの置き所によって
次のプレーの選択肢が広がったり、限定されていたり、
連携プレーが継続したり、滞ったりしています。

ふと、経営においての止める蹴るはなんだろうと考えましたが、
判断する、決断するが「止める」、指示する、任せるが「蹴る」ではないでしょうか。
現場の仕事においては仕事の依頼時が止める、蹴るに近いと思います。

経営者、管理職は判断、決断の連続です。
その判断力、決断力の精度を高めるために日々情報収集し、大局を見て動いています。
躊躇したり、迷ったり、判断軸がブレたり、また決断できなかったりした時、
試合全体の流れが変わるように、組織にも悪影響が出ます。
現場の仕事においては、仕事の受け渡しで気の利いたパスを出してくれる人、
いわゆる丸投げで、遡って現状把握からしないといけない人。
そこに大きな差が出ます。
経営や仕事における止める蹴るのレベルを私自身も高めていかないといけないと、
改めて感じている今日この頃です。