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岩田 徹

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第120回 憧れるのをやめましょう

2023/03/31

見事に優勝を飾ったWBC日本代表。
メジャーリーグのトップ選手が揃ったアメリカ代表との決勝戦直前。
選手、スタッフ全員が揃ってミーティングを行い、
最後に意識を統一して試合に臨むための声出しを担当した大谷翔平選手。
「僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。
ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見たらマイクトラウトがいるし、
外野にムーキーベッツがいたりとか。
野球をやっていれば誰しもが聞いたことのあるような選手たちがいると思うんですけど、
今日一日だけは憧れてしまったら越えられないんで。
僕らは今日、超えるために、トップになるために来たので。
今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。
さぁ、行こう!」

今や世界一の選手と言っても過言ではない大谷翔平選手からの言葉。
日々メジャーリーグで戦っているからこそ感じる、日本人選手の気持ち。
プロ野球のトップ選手でさえ、メジャーの憧れの選手を前にすると
浮き足立つ気持ちもあるのでしょう。
そこを察知し、全員の目線を揃え、試合に集中する環境を整えた大谷選手。

決勝戦では全選手が堂々とメジャー選手と渡り合い、見事優勝。
一歩も引くことなく、目の前の敵に自分の持てる力を全力で尽くし、
最高の結果を手繰り寄せました。

相手が強敵のアメリカ。
選手は全員がメジャーリーグ所属。
MVPを獲得した選手など、テレビで日々見るような選手たち。
「名前負け」という言葉もある通り、
その名前を聞いただけで相手側が萎縮し、普段のプレーができず、
いい結果を導き出せない、というのは野球に限らず、多くの競技で見られるものです。

日々の仕事でもあるかもしれません。
提案先が超大手企業だったり、社長や役員といった立派な肩書が付いていたり。
必要以上に敬意を払いすぎたり、自らプレッシャーをかけて萎縮しすぎたり。
相手の立場や所属先、知名度はコントロールできません。
コントロールできるのは自分自身の気持ちや考え。
いかにその場その場で全力を尽くせるか。そのために日々スキルを磨き続けるか。
大谷選手の声出しから、改めて実感することができました。