前回は、対人関係のレジリエンス(1)「男女間のコミュニケーション②」として、「マンド」と「タクト」といった話題について触れました。
今回は脳科学などの観点から男女のコミュニケーションの違いについて考えていきましょう。
コミュニケーションにみる男女の違い
男女の違いをことさら強調するつもりはないのですが、脳科学などの研究で男女のコミュニケーションの違いなどがある程度分かってきました。
1.相手の話を聴けるかどうか
男性には、相手の話を聴くことを苦手とする人が多いようです。
相手と対話しているように見えるのですが、頭の中で別のことを考えているといったことが多々あります。
女性にもそういう傾向がないわけではありませんが、相手の話をよく聴いて覚えていることが多いようです。
筆者もかつて妻に「あなたあの時、こう言ったわよね」と、20年前のことを持ち出されることもありました。
単に記憶力がよいというだけでなくて、内容をよく聴いていないとここまで細かく想い出せないだろうということがよくあります。
2.結果を求めるか、その場を楽しむか
男性は、結果を求める傾向が強く、仕事を離れたプライベートでもこうしたことにこだわります。
例えばゴルフのスコアがどうだったとか、将棋で誰に勝っただとかいう風に結果にこだわることが多くあります。
女性もそういうこともあるでしょうが、例えばゴルフに行って楽しかった、観光旅行がとても楽しかった、といったプロセスを十分に楽しんでいることがわかるセリフがよく出てきます。
男性から見るとこうした女性は、プロセスを楽しむ達人のように思えることが多々あります。
前回ご紹介した、日本におけるアドラー心理学のパイオニアといってもよい岩井俊憲先生は、こうした趣旨のことを言っています。
3.客観的事実と主観的意見
男性が論理思考を用いて客観的な事実を重視する傾向に比べて、女性は視覚的能力の強さから、主観的意見を尊重する。
つまり、男女は脳科学的にみて違いがたくさんあるということです。
違いがあれば、尋ねて分かりあう
こうした違いがたくさんあればこそ、男女の間には解きたくなるミステリーが横たわっているのではないでしょうか。
そうした謎を、互いに理解するために必須なのは、「相手の考えや感じ方を尋ねてみる」ということです。
つまり、分からないから尋ねるということです。
勝手に判断するのではなく、互いに尋ねて理解し、尊重することが男女の間では何よりも重要ではないでしょうか。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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