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深山 敏郎

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第88回 職場組織のレジリエンス(5)コンプライアンスの徹底

2023/02/21

前回は、職場組織、つまり会社単位のレジリエンスの第4回目として「ダイバーシティとインクルージョン」についてお話してきました。

中小企業でもこの考えが必要なことをお伝えしました。
今回は「コンプライアンスの徹底」というテーマでお話をします。

組織にとって「コンプライアンスの徹底」とは

「コンプライアンス」とは「法令遵守」のことであり、それに沿った社内ルールをも守るということです。
前回の「ダイバーシティとインクルージョン」同様に組織にとっては非常に重要な課題です。

筆者自身、コンプライアンス違反を行った企業や個人の指導もしますし、是正措置のご相談にも乗っています。
現場では、パワハラなど人権にかかわるものを含めて多くのコンプライアンス違反が後を絶ちません。

読者の皆様も以下のような事例をよく覚えているのではないでしょうか。
例えば食品メーカーや飲食業界のさまざまな偽装(食材偽装、輸入牛肉であるにもかかわらず国産の牛肉であるとして処分に際して政府からの補助金を受け取った不正など)、自動車メーカーによるデータ改ざんや事故隠し、行政や政治家による汚職などさまざまです。

告発しやすく、また、対処しやすくなった

以前は会社ぐるみで不正を隠蔽するといったことが横行していましたが、法律の変更などで内部告発がしやすくなりました。
大企業のみならず、中小企業でも同様です。

また、コンプライアンス上の事故が絶対発生してはいけない、ということにこだわりすぎて、実際に発生した折に隠蔽してしまう、ということがいかに組織に不利になるかということが段々分かってきました。
もし法律や社内ルールの違反があれば、それをオープンにして是正するということがしやすくなってきました。
国も素直に不都合を認めて善処することが望ましいとしています。
どうしても人間の行うことに不都合は発生しうるので、それをタイムリーに報告して善処するということが望まれるのです。

不正があった時に変に隠蔽することがいかに組織にとって不都合を増大させるかが、段々分かってきたのではないでしょうか。

コンプライアンスの徹底とは

昔、重大なコンプライアンス違反を犯して売上がほぼ半減し、存続が危ぶまれた企業があります。
その企業でコンプライアンス徹底のために「社員憲章」などさまざまなルールを作り、徹底しました。

その一例をお示ししましょう。ある部長が社内不倫をしていたことが発覚しました。
コンプライアンス委員会で問題になり、その部長に不倫を直ちに止めるように伝えました。
部長は開き直って、「社内のだれにも迷惑をかけていない、ごちゃごちゃ言うな」といった態度でした。
コンプライアンス委員会では、「わが社の社員憲章には『家族を幸せにする』とある。
あなたが不倫をしていてご家族は幸せなのか」と問いただし、その部長を降格させたということです。
コンプライアンスの徹底は、法律違反でなければよいといったことではなく、本来の趣旨に沿ったものでなければなりません。

レジリエンスの高い組織にするために、私たちにその覚悟があるかが、問われています。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
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