HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

深山 敏郎

ホーム > 深山 敏郎 > 記事一覧 > 第86回 職場組織のレジリエンス(3)環境変化に対応した組織構造

第86回 職場組織のレジリエンス(3)環境変化に対応した組織構造

2023/02/07

前回は、職場組織、つまり会社単位のレジリエンスの第2回目として「合理的な意思決定と実行管理」についてお話してきました。

今回は「環境変化に対応した組織構造」というテーマでお話をします。

そもそも「組織」とは何か:「組織」とは頭の中の約束事である

このコラムは、「そもそも」論が多く展開されています。
ある意味で、目的を再確認するために「そもそも」論が必要だと筆者は思っています。
そもそも、組織の存在価値とは何でしょうか。

組織というものは目に見えません。
触ることもできません。
私たちの頭の中の約束事であるということを再確認しておきます。
組織図は見ることができるのですが、組織そのものは見えません。
会社という組織を見ようとすると、Webの説明を読んだり、社屋を外から見たり、TVCMなどを見たりすることは出来ても会社そのものは見ることができませんし、触ることもできません。
ちょっと難しい言葉では、「インタンジブル(蝕知不可能)」と言ったりしますが、それはともかく、私たちは「組織」そのものを直接見たり、触ることはできません。

では、「組織」とは何でしょうか。
「組織」とは「頭の中の約束事」です。
例えば、ある人が「〇〇株式会社の社員である」というのは本人がそう思い、周りもそう思っている。書類や社員証で確認できる、ということです。

その約束事は組織図になり、また社則によって規定され、一人ひとりが頭の中でそれをイメージして、活動しているのです。

もっとも有名な組織構造は、おそらく「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の著者マックス・ウェーバーらにより提唱されたといわれる「官僚制組織」だと思われます。

国民(住民)福祉の向上という一つの目的のために、行うべきことを細分化して部門を決め、個人々々に仕事を割り当てるというものです。
中央政府(国)や地方政府(都道府県や市町村)では、法律や条例でルールを決めて、それに従って仕事をします。

トップとしては管理しやすい組織形態ということができるでしょう。
その反面、「融通が利かない」、「組織の分け方が現実に即していないと仕事に抜け漏れが出る」、「ルールに縛られてやる気が出ない」等の欠点もあります。

民間企業、特に中小企業に即した「組織」のあり方

官僚組織とは異なり民間企業、特に中小企業に即した「組織」のあり方はどのようなものでしょうか。

まず、組織編成の中心となるのは「顧客ニーズ」です。
さまざまな利害関係者の中でも、「お客様」はもっとも重要なことは筆者がわざわざお伝えする必要はないでしょう。
なぜならば「お客様」が居なければ商売(ビジネス)は成り立ちません。

つまり「組織」もお客様とそのニーズに沿ったものになっているかどうかが重要なのです。
自組織がお客様とコミュニケーションをしやすいかどうか、また、社内の意思決定もそうしたお客様ニーズに合致したものかどうか、がもっとも重要です。

そうしたことを加味しながら、組織を変更していくことがビジネスで生き残るために重要です。
単純な例でいえば、需要の多い地域に新店舗を出すなどがこれにあたります。

これは実は大企業であっても同じ理屈なのですが、大企業の場合は多くの従業員を抱えているため、その調整に時間とコストがかかるので中小企業のように迅速に変更ができません。
本来、小回りが利くことが中小企業の強みの一つですが、もしトップの考え方が固定的であると、大企業と同じようなことが起こるかもしれません。
それでビジネスがうまくいけば良いのですが、お客様がいなくなったところではビジネスができません。
魚がいないところに漁網を降ろしても魚はかからないのです。

経営陣が気づかない間にそういうことが起こる場合があるので注意が必要です。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
http://miyamacg.com/
toshiro@miyamacg.com