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木村 圭

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第15回 炎上を防ぐためにやるべきたった1つのこと

2022/04/18

先日、姫路市長が卒業式の場で「三流大学」と発言したことが話題になりました。キーワードだけ聞いた人や、発言の一部を切り取った報道の仕方もあって、プチ炎上してしまったようです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5576be1bf71b230a962a45ae8e4ea941d0629e32

ただ、スピーチ全文を読めば、発言に悪意がないことは明らかなので、「何ら問題ない」「言いたいことはわかる」と概ね市長を擁護する声も多いです。

それはそれで結構なことですが、私はスピーチライターとして「こうしておけば良かったのにな」と思うところがありました。そこで、今回は炎上を防ぐためにどうすればいいか、ということをお話したいと思います。

炎上を防ぐための最低限のルール

私がスピーチを書く上で気を付けていることは大きく3つあります。

①人を傷つける言葉を使わないこと
②誤解される言葉を使わないこと
③発信者の影響力を考えること

①も②も人によって主観が違うので100%防ぐことは難しいですが、少なくとも「相手の立場だったら」を考えることで、リスクを最小限にできます。

つまり「誰に」話すのかをあらかじめ考えておけば「この言葉はこの相手にとって良くないな」と判断できます。

そういう意味で今回の三流大学発言はスピーチ全文を直接聞くことのできる相手(学生)にとっては傷ついたり誤解したりする要素は見受けられないと思いました。もちろん、直接聞いていたとしても、「三流大学」という言葉に反応する人もゼロではないですが……。

「誰が」までは意外と考えていない

問題なのは③です。

前述のように、①と②のリスクを回避するためには、そのスピーチを聞く「誰に」を考えておけばOKです。しかし、③はそれだけでは足りません。発信者の影響力を考えた時、目の前にいる相手以外の人についても考えておく必要があります。「誰が」聞く可能性があるのか? そこまで考えられていたら、こうした炎上は防げます。

よく政治家が内輪向けのジョークを言って「不謹慎だ!」と炎上することがありますよね。あれは、「誰に」話すかまでは考えられても、「誰が」聞いてるか、ということまでは想像できていないということです。自分達の仲間だけでなく、テレビを通して一般の有権者も観るかもしれないと想像できていれば、炎上するような言葉を選ぶことはなかったでしょう。

今回の発言はまさにこの「誰が」まで考えていなかったことが原因だと思います。発言の前後を見れば「エールのつもりだった」という意図に嘘はないのでしょう。しかし「誰が」まで考えることができれば「三流大学」というワードが世間一般ではあまりいい印象を持たれていない言葉だとわかります。そのため「三流大学という言葉を使わずに、エールを送れないか」という別の発想になったのではないでしょうか。

まとめ

とはいえ、前後関係をみれば、このスピーチは話者の想いが詰まった素晴らしいものです。先述したように言葉選びを慎重にすべき課題はあったかもしれないですが、「誰が」である私たちの受け取り方を課題と考えた人が多かったからこそ、今回は大きな炎上にはならずに済んだのかもしれませんね。