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第5回 使う言葉で意識が変わる

2021/01/14

表現の端に滲む従来型の考え

学校の先生や研修講師の方とお話ししていると、「感想を発表させる」や「考えたことを紙に書いてもらう」といった表現を耳にすることがあります。

みなさんもこれまで一度はこういった表現に出会ったことがあるのではないでしょうか。

でも、よーく見ていると、この表現に少し違和感をもちませんか?
文字通りに取ると、参加者がしている発表やメモといった行為は彼らが自発的に行ったものではなく、その場を仕切っている人がやらせたものだということになってしまいます。

揚げ足をとっているように思われるかもしれませんが、言葉や表現はその根底にある意識を象徴しています。

以前、ある大学の先生が「教室(classroom)というのは、class=集まる+room=部屋、すなわち子どもたちが学ぶために集まるための部屋であって、先生が教えるための部屋という当て字は適切ではない。
これは英語が入ってきた当時の日本人の意識が反映されている」と仰っているのを聞いて、すごくハッとしました。

当たり前に使っている語の中にも、長年アップデートされていない教育観が染みついているのです。

言葉に気を付けると、意識が変わり始める

僕は、「〜させる」「〜してもらう」の代わりに、「(参加者が)〜する」、あるいは「(自分が)~だと伝える」という表現を使うようにしています。

それは、課題の提示は僕がやったとしても、それを実行するかどうかの決定権は相手側にあると考えているからです。

アクティブ・ラーニングに代表されるように、子どもの頃から自立した思考力の育成が求められています。そのためには、「させる」のではなく、子どもたち自身が主体性をもてるような言葉を使ったファシリテーションが大切です。

これは大人相手の研修でも同じです。
参加者主体にしたいのにあまりうまくいかないと感じたときは、ご自身が使っている言葉や表現をふりかえってみてください。

自分の内側に気づくヒントは、自分がアウトプットしているものをふりかえることから得られますよ。