第21回 TOPが指示をリーダーの部下に出してはいけない!
2021/09/05
日々、さまざまな企業の社員さんとお話をします。
個人面談では「これは絶対に会社には言わないでください!」と私を信頼して本当の気持ちを吐露してくれます。
そんな中で割と多く聞くのが「経営者が、リーダーを飛ばして一般社員に指示を出す。」という話です。
社員20名以下の企業に多いと感じています。
例えば、部署ごとにリーダー1人いるとします。
部署が3つなら3人のリーダー、それ以外は一般社員という構図です。
経営者はリーダーに指示を出して、リーダーが一般社員に指示を出す。
形としてはそうなっているのですが、現場では、どうも違う場合が多発しているようです。
なぜ、TOPがリーダーの部下に指示を出してはいけないか?
その理由は3つあります。
①部下が混乱するから。
経営者が一般社員に指示命令を出すとき、たまたまリーダーと同じ内容だったらいいのですが(同じであれば、指示する必要がないですが。)、もし違う場合、部下は混乱します。
また、内容が同じであっても、伝える言葉が違うと混乱します。
②リーダーの信頼を損なうから。
経営者が一般社員に指示命令を出してしまうと、リーダーの信頼が失われます。
するとリーダーの役割を遂行することが難しくなります。
③一般社員にとって経営者の存在は特別だから。
一般社員は、経営者の言葉を経営者が想像するよりも重く受け止めている場合があります。
だから、経営者からすると『良かれと思って』『応援したくて』という思いやりの気持ちからの言葉でも、もしかしたら逆効果になってしまう場合もあるかもしれません。
以上3つの理由で、リーダーがいるのに、それを飛び越えて、経営者が部下に指示命令を出してはいけないのです。
そのことは知っていたとしても、実はやってしまっている。そういうことが起こっています。
もちろん個別に話したり、面談などで、話を聞いたり、目標や課題の共有をすることは大切です。
ここでお伝えしているのは、業務上の指示命令や、業務上の方針などをリーダーを飛ばして一般社員に伝えるのは良くない、という意味です。
業務上ではなく、会社の方向性・指針などを全体に、また個別に話すことはとても大切です。
会社としての方向性や指針と業務上での指示命令や方針、その違いを明確にし切り離す必要がある、ということです。
そもそも、なぜリーダーが必要なのか?
なぜ部署ごとにリーダーを置くのでしょうか?
それは、その部署という組織を運営する人が必要だからですね。
リーダーを置かずに、全ての社員が経営者直の部下だとしたら、会社は大きくなりません。
いつまでも『一人屋台』のままです。
リーダーを育成するのは、部署ごとに部下をマネジメントし成果を上げて欲しいからですよね?
だからリーダーは、経営者の方針や指示命令を理解し、それを実現できるよう、部下に伝えて部下を動かし成果を出す、それも役割の一つなのです。
その役割を経営者が邪魔をしてはいけません。
もし、思うように一般社員が動いていないならば、そのリーダーを育てることです。
社員20名以下の組織で大切にすべき組織運営とは?
経営者とリーダーたちとの信頼関係を構築すること。
まず必要不可欠なことはそこです。
それが全てと言っても過言ではないほどです。
リーダーたちが経営者と同じ方向を見て、経営者の意向も理解し、さらに会社の発展のための意見を出せること。
それが土台です。
この関係をまず築きます。
そして、リーダーを信頼し部署の組織運営を任せることです。
そうすれば、もしリーダーでは解決が難しいことがあっても、リーダーは安心して経営者に相談できます。
リーダーたちとの信頼関係があれば、経営者は経営者がするべき仕事に集中できます。
多くの経営者がそれを心から望んでいることでしょう。
しかし、現場ではそれが難しい場合が多いように感じます。
そこで、大切なのが経営者のリーダーへの『コミュニケーションの仕方』です。
仕方と言っても『これが正しい!これさえやれば!』というノウハウがあるわけではありません。
ただ、信頼関係を築くために大切な『要素』はあります。
・経営者自身が本音を伝えているか?
・リーダーたちの本音を聴いているか?
・経営者が自分自身を信頼しているか?
・リーダーを信頼しているか?
・一方的ではなく『対話』をしているか?
・リーダー一人一人の性格や持ち味を理解し活かせているか?
・会議などで活発に意見が出せる風土を作っているか?
他にもありますが、まず大切な要素をあげてみました。
しかし、すでに今までの関係性が出来上がっていて、どう改善していけばいいのかわからない。
急に態度変えるのも逆に不信感を持たれてしまう。
など、どうしたらいいのか?と、悩まれる方もいるでしょう。
まずは、その悩みそのものをリーダーに『本音で、信頼して』シェアするところから始まるかもしれませんね。
今回は、日々、さまざまな企業の社員さんと対話する中で、よく聴く「リーダーを超えて経営者が指示を出してきて困る。」という本音から、記事を書いてみました。
もちろん、私が関わった会社は経営者とリーダーたちの信頼関係を築き、自走組織で成果を上げています。
最後にもう一度まとめると、社員20名以下の組織で最も大切にすべきことは、経営者とリーダーたちとの信頼関係を構築することです。
リーダーたちが経営者と同じ方向を見て、経営者の意向も理解し、さらに会社の発展のための意見を出せること。
それが土台です。