HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

岩田 徹

ホーム > 岩田 徹 > 記事一覧 > 第37回 長期にわたる育成戦略

第37回 長期にわたる育成戦略

2021/08/27

強豪国として君臨し、東京五輪でも団体、個人共にメダルを獲得した卓球日本チーム。
女子団体3名の見事なチームワーク、
男子団体3名のユニークなキャラクター、
混合ダブルスで中国ペアを破っての金メダルと、
どの種目でもメダル争いが期待できる日本卓球チームでした。

その日本チームですが、20年前の2001年の世界選手権で、
男子団体は史上最低の13位という結果でした。
当時監督を務めた宮崎氏が低迷を脱し強豪国となるには
小学生のナショナルチームが必要だと訴え、本格的な強化がスタートしました。

なぜ小学生だったのか。
当時の日本人選手は対戦相手に攻められやすい明確な弱みがあったそうで、
その弱みを矯正しようにも、小さな頃から何万回と打ち、
確立されたプレースタイルを、大きくなってから矯正するのは難しいと判断。
初期設定、つまり幼い世代からの変更の重要性を訴え、
育成方法を見直したそうです。

全国から有望な小学生を招集し、
技術面、フィジカル面、メンタル面、栄養面と各方面からのサポート体制を充実。
そして指導者の教育なくして選手の強化はない、とのことで指導者の教育を実施。

2001年からの10年間で公認指導者数が2000人から3000人に増加。
そこに相まって2008年からJ O C(日本オリンピック協会)の
エリートアカデミー事業が開始され、育成環境がさらに充実しました。

世界最強の中国も進歩を重ね、続々と新しく強い選手が出てきます。
日本チームも強豪国に「近づく」「追いつく」ことがスタートでしたが、
中国を「追い抜く」時が来るのを楽しみに次回のパリ五輪も期待したいと思います。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

ローマは1日にしてならず。
5年戦士の存在を社内に増やすには当然5年以上の時間がかかります。
10年戦士であれば10年です。

即戦力の採用を、ということで、
どこにいるかもわからない優秀な層を求めて彷徨うよりも、
目指す方向を定めて育成計画を実行し長期熟成させることが、
結局は成長への近道なのだと思います。