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深山 敏郎

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第9回 レジリエンスとワークエンゲージメント(1)

2021/08/17


前回まで、レジリエンスの高い人の特性についてご紹介してきました。
今回と次回はレジリエンスと「ワークエンゲージメント(ワーク・エンゲイジメントともいう)」の関係について理解していきます。

「ワークエンゲージメント」は国連のSDGsに合致する

〇SDGsとワークエンゲージメント
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)には、「3.すべての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」とあります。ワークエンゲージメントは、その人が仕事に対してどれだけポジティブな感情や心理状態を持つかということです。働きがいをもって仕事に没頭できるということです。ただし、仕事中毒ではありません。仕事を単なる義務ではなく、楽しみとしてとらえているところが特徴です。

レジリエンスが高い人は、当然ワークエンゲージメントも高くなるためアンケート調査などをしてみると、共通点が多々みられます。

〇ワークエンゲージメントの位置づけ
ユトレヒト大学(オランダ)のW・Bシャウフェリ教授によると、ワークエンゲージメントと類似の概念を以下のようにまとめています。基準となる軸は、仕事への感情と、活力・活動量です。

1.ワークエンゲージメント
仕事をポジティブな感情でとらえ、活動量も多い状態です。仕事から幸福感や感謝の気持ちを得ることが出来ていて、仕事をたくさんこなしています。

2.リラックス
仕事をポジティブにとらえていることは、ワークエンゲージメントと変わりはなく、活動量は控えめな状態です。そこそこの仕事量でエンジョイしながら働いているということになります。

3.ワーカホリズム
仕事に対しては、義務感が先行しており、必ずしもポジティブにはとらえていません。そのくせ、仕事をバリバリこなしているという状況なため、外見上、ワークエンゲージメントと見間違えてしまうケースがあるため、周囲にいる人、特に上司は注意する必要があります。ワーカホリズムな状態に入っている人をワーカホリックといいますが、一般に高ストレス状態にあり無理をするため、心身の健康を害する場合があります。

4.バーンアウト
ワーカホリズム同様、仕事を義務ととらえ、仕方なしに仕事に取り組むのですが活動量が低く、仕事もはかどりません。周囲から種々のサポートが必要な状態です。

〇ワークエンゲージメントの要素
シャウフェリ教授は、ワークエンゲージメントの高い人の特徴として、次の3項目をあげています。

熱意:仕事に誇りややりがいを感じる
没頭:仕事に夢中になり集中して取り組む
活力:活き活きと積極的に仕事に取り組む

こうした3つの心理状態を生み、働く人も会社も組織も健康にします。

〇レジリエンスとワークエンゲージメント
レジリエンスとワークエンゲージメントの共通点は、以下のように整理されます。

1.幸福感の高さ
幸福感の高さは、レジリエンスの高さとワークエンゲージメントの共通点の一つです。レジリエンス研究では、幸福感の高さは自己効力感(有能感、自分は組織に貢献できるという自信)や楽観と共通するところがあります。仕事に限定して考えてみると、「仕事に対する熱意」、「没頭」といったことになります。

2.活力・活動量の高さ
仕事を通じて得られる活力の高さも、共通点の一つです。レジリエンス研究において、積極的に社会との接点を持とうという姿勢や、対人関係の積極さもレジリエンスが高い人の特徴であり、ワークエンゲージメントの高い人の特徴と共通します。

次回は、レジリエンスとワークエンゲージメント(2)としてジョブ・クラフティングについて考えてみましょう。

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