「過去最高益でも、早期退職募集」──そんな企業が珍しくなくなっています。
「三菱電機」は、2026年3月時点で「53歳以上の正社員1万人」を対象に「希望退職」を募ると発表しました。業績は好調ですが、「組織の若返り」と「再編」を掲げますが、同様の動きは今年1〜8月だけで31社、1万人超に及び、「黒字企業が6割」を占めているのです。
この“黒字リストラ”の裏には、単なる「コスト削減」ではなく、「どんな人材に残ってほしいか」の企業の選別意識が見えます。
物価高の中でも昇給対象とならなかった層は、実質的な「余剰」と見なされており、結果的に、手を挙げてほしい人ほど「早期退職」に応じ、組織の新陳代謝が進むという狙いでしょう。
一方で、AIが台頭する今後の労働市場を見据えれば、シニア層が持つ“経験に基づく知恵”や“現場のセンス”は再評価される可能性が高いでしょう。
現時点でのAIが代替できるのはルーチンワークや浅い知識に限られがち。
むしろ、若手こそその影響を大きく受けるのではないでしょうか。
だからこそ、シニア層は旧来型の「しがみつき」ではなく、自律的にキャリアを設計し直す時期にあります。
退職勧奨を拒むのではなく、「選べる立場」に立つために、スキルの棚卸しや情報収集を怠らず、選択肢を広げることが非常に重要です。
いま転職市場では、50代以降のミドル・シニア層に対するニーズも確実に増えています。
雇用の形が変わる時代、早期退職は「敗北」ではなく“再設計のチャンス”になり得ます。
変化を恐れるのではなく、変化を利用する。
その柔軟さこそが、AI時代における「最強のキャリア資産」となるのではないでしょうか。