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深山 敏郎

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第3回 ストレスのコントロール法(1)

2021/07/06

前回は、ストレスがないと人間はどうなる?といったことについて考えてみました。
今回は、ストレスのコントロール法(1)ということで、ストレスをどのように自分の思うようにコントロールするかについて考えてみましょう。

ストレス・レベルと生産性

まず、ストレス・レベルと仕事の生産性(ここでは、集中度の高さ、ミスの少なさといった意味で使います)の関係について理解していきましょう。

図は、ヤークス・ドットソンのストレスと生産性のモデル図に筆者が加筆したモデルです。
筆者は旅客機のパイロットや電車の運転士、消防士や工場作業者の安全教育の場で用いています。
同様にホワイトカラーの皆さまの日常業務にも応用できるモデルです。

この図は、生産性とストレスの強さを単純化したモデルです。
ご自分の分析をするのに便利です。

最も適した状況へシフトする

フェイズ3がもっとも仕事に適した状況です。
フェイズ0は仕事中、ほとんどあり得ない状態ですので、説明を除外します。

フェイズ1にいるとき、例えば二日酔いや寝不足、おなじ姿勢が続いた場合などは顔を洗う、軽い体操をして血流を促すなどしてフェイズ2、そしてフェイズ3を目指します。
筆者はよく珈琲を飲むのですが、時間帯によっては睡眠の質を低下させますので注意が必要です。
オリンピック選手のメンタルコーチをしている方から伺ったのですが、大会期間中は午後2時以降、選手には珈琲を飲ませないと仰っていました。

フェイズ2にいる時は、雑音など過度な刺激をなるべく遠ざけます。
ある新聞社では、原稿の校正をしているときは、部屋にこもって雑音を排除し、面談禁止にしているそうです。

フェイズ4はもっともやっかい

フェイズ4にいる時は、実は本人の努力ではこのフェイズから脱することが困難です。
一流のアスリートや舞台人など、本番直前の過度なストレスを低くすることに慣れている人は別です。

かつて、雑誌「プレジデント・ウーマン」(2016年3月号ユーモア特集)にも執筆したのですが、旅客機の機長が、機長として初めてのフライトで緊急警報が鳴ってパニックに陥った時に、アメリカ人の副操縦士が、「緊急警報テスト完了」というジョークを言ってくれて落ち着くことが出来たと言っています。
チームで働くことの意義が、こうしたところにもあるのですね。

次回はこのストレスの具体的なコントロール法をさまざまな職場事例中心に検討してみましょう。