先日、お客様・ベンダー様向けに研修の企画提案書を作成しました。
内容は、「『心理的安全性』をベースにしたチームビルディング」。
昨年機械メーカーの職場リーダー向けに実施をして想定以上に好評だったので、他の業種・職種のお客様にも展開できるようにアレンジして、ようやく形になりました。
ホントは2月中旬リリース予定だったのですが(苦笑)
私のスローペースな仕事はさておき、今回心理的安全性について、再度おさらいをしてみました。
マネジメントやリーダーシップの研修では、日頃から単元の一つとして展開しているので、全体像は頭に入っているのですが、この理論に至った背景や職場での具体的な対応についても考察してみました。
心理的安全性とは、ハーバード大学のエドモンソン教授が打ち出した理論で、「誰もが率直な意見や素朴な疑問を言うことができる状態」を指します。
心理的安全性が評価・注目されるようになった背景には、2016年にGoogle社が、「心理的安全性が感じられるチームこそ収益性が高く、離職率も低い」と発表したことによります。
この心理的安全性についてより深く理解するためには、「どんな職場が心理的に安全でない(=「非」安全)と感じるか」を考えるのが合理的なのですが、エドモンドソン教授は、職場で意見を言う際に心理的安全性を脅かすリスクとして以下4つをあげています。
1.「無知」だと思われたくない
2.「無能」だと思われたくない
3.「邪魔」だと思われたくない
4.「否定的」だと思われたくない
本コラムでは、デジタルコミュニケーションやSNSを考察している関係から、4の「否定的だと思われたくない」に注目しました。
以前より、SNSの広がりと「否定的だと思われたくない」という心理は関連性があるのではないでしょうか。
実際、そのように解説している専門家もいます。
「否定的だと思われたくない」という心理は、職場において個人が意見を発信する際の大きな障壁の一つです。
この心理は、他者から否定的な評価を受けたり、チームから孤立することへの恐怖を伴い、その結果として沈黙や慎重な発言に繋がることがあります。
SNSでは、個人の意見が不特定多数の人々に公開され、意見が瞬時に拡散される特徴があります。
その結果、他者と異なる意見を述べることで、時に過剰な非難や人格攻撃を受けることがあります。
自分が発信しなくても、他人が避難や攻撃を受けるのは、しょっちゅう目の当たりにします。
このような状況が続くと、多くの人は「不快」「億劫」な感情になり、SNS上での発言を控えるようになり、さらにはオフラインでも自分の意見を表明することに躊躇するようになります。
「否定的だと思われたくない」という心理的な制約が、オンラインのネガティブな経験を通じてさらに強化されるわけです。
特に、SNSでは同調圧力が強く働くコミュニティも多く、自分の意見がそのコミュニティの主流意見と対立する場合、その意見を隠そうとする傾向が見られます。
これにより、職場環境でも「波風を立てたくない」という心理が働き、建設的な議論や意見交換が減少するリスクが高まります。
心理的安全性が脅かされると、新しいアイデアや改善策が提案されにくくなり、職場全体の創造性や効率性に悪影響を与える可能性があります。
SNS主流の時代だからこそ、意見の多様性を尊重し、否定的な反応を恐れずに発言できる職場風土を醸成することが重要だと感じた今日この頃です。