企業の採用活動において、
「即戦力人材を採用したい」
という要望はよく耳にします。
しかし、私はあえて言います
「即戦力人材は採用するな!」。
これは単なる逆張りではなく、
中長期的に企業が成長するための
戦略的な考え方です。
今回は、その理由を解説しながら、
本当に採用すべき人材について
考えてみましょう。
1. “即戦力”は本当に戦力になるのか?
「即戦力」とは、
一般的に「入社後すぐに活躍できる経験者」
を指します。
しかし、企業ごとに業務のやり方や文化、
求められるスキルは異なります。
どれだけ優秀な経験者でも、
自社の環境に適応しなければ、
期待通りの成果を出せないことも多いのです。
また、即戦力として採用された人材は、
「前職のやり方」に固執しがちです。
その結果、新しい環境で柔軟に対応できず、
かえって社内の摩擦を生むことさえあります。
特に組織文化が強い企業では、
即戦力人材がうまく馴染めずに
早期退職してしまうケースも珍しくありません。
2. “即戦力”採用のコストは高い
即戦力人材は、
すでにスキルや経験を持っている分、
採用コストが高くなります。
市場価値の高い人材には
相応の待遇を提示しなければならず、
場合によっては
給与水準を引き上げることになります。
それが一部のポジションだけであれば良いですが、
組織全体に影響を及ぼすと、
社内の給与バランスが崩れ、
既存社員の不満につながるリスクもあります。
さらに、高待遇で採用した即戦力人材が
短期間で退職してしまった場合、
その損失は計り知れません。
採用コストだけでなく、
教育コスト、引き継ぎコスト、
そして再度採用活動を行うコストが発生します。
3. 本当に採用すべき人材とは?
即戦力人材ではなく、「ポテンシャル採用」に
シフトすることをおすすめします。
ポテンシャル採用とは、
スキルや経験よりも、
成長意欲や学習能力、
組織の価値観とのフィットを
重視する採用方針です。
例えば、次のような特徴を持つ人材は、
即戦力ではなくても
中長期的に企業に貢献できる
可能性が高いです。
●学ぶ意欲が高い
:新しい知識やスキルを積極的に吸収しようとする姿勢。
●柔軟性がある
:環境の変化に適応し、自社のやり方を素直に受け入れられる。
●チームワークを大切にする
:個人のスキルよりも、チーム全体の成長を重視できる。
ポテンシャル採用の最大のメリットは、
自社の文化に合った人材を育てられることです。
未経験者であっても、
適切な教育と環境が整っていれば、
数年後には企業にとって
かけがえのない戦力となります。
4. 育成する文化が企業を強くする
即戦力を求める背景には、
「人材育成に時間をかけたくない」
という思いがあるかもしれません。
しかし、中長期的に見れば、
企業の競争力は「優秀な人材を採用すること」ではなく、
「優秀な人材を育てること」によって生まれます。
特に、昨今の採用市場では、
優秀な人材を奪い合う競争が激化しています。
限られた即戦力を追い求めるよりも、
自社で成長できる環境を整え、
育成の仕組みを確立するほうが、
持続的な組織の成長につながります。
5. まとめ:即戦力ではなく、成長する人材を採用せよ!
「即戦力人材を採用するな!」というのは、
単に経験者を排除しろという意味ではありません。
本当に強い組織を作るためには、
「即戦力に依存する採用」から
「成長できる人材を採用し、育てる仕組みを作る」
ことが必要です。
企業が持続的に成長するために重要なのは、
一時的な成果を求めるのではなく、
中長期的な視点で人材を採用し、
育成する文化を根付かせること。
そうすることで、
社内に「自社で育った本当の即戦力」が増え、
結果として組織全体の力が強くなります。
これからの採用戦略を見直す際に、
ぜひこの視点を取り入れてみてください。
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