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岩田 徹

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第220回 目標からの逆算

2025/03/07

先日開催された東京マラソン2025。
4万人弱のランナーが首都東京を走りました。
普段走ることのできない都心のど真ん中を、
沿道を埋める観衆の声援を浴びながら駆け抜ける42キロ。
今年は天気も良く、3月にしては暑いくらいの気候でした。
私も一度は東京マラソンを走ってみたいと毎年応募するのですが、
一度も当選したことがなく、今から来年に向けて準備をしたいと思います。

さてその東京マラソンで私が注目した選手は、青山学院大学の太田蒼生選手です。
青山学院大学の原監督から「駅伝男」と言われ、
箱根駅伝では毎年総合優勝に大きく貢献する走りを見せたランナーです。
太田選手の駅伝で見せる強さは天下一品で、
2025年の箱根駅伝では4区を走り、先頭から2分半あった差を30秒まで詰め、
5区山登りでの逆転に繋げる走りを見せました。
その太田選手が初マラソンに挑みました。
東京マラソンよりも前に開催された大会で、
チームメイトの若林選手が初マラソン学生最高記録を叩き出し、
その後、後輩の黒田選手が大阪マラソンですぐにその記録を塗り替えました。
青山学院大学のエースでもあった太田選手にも大きな期待が寄せられていました。

そして迎えた東京マラソン。
太田選手が見せた走りに私は驚きました。
多くの日本選手が第2グループ、第3グループのペースメーカーについていく中、
太田選手は世界トップの選手たちに混じり、スタートから第1グループで走りました。
時には全体のトップに躍り出るなど、
途中までは日本記録を1分以上も上回るペースで走りました。
残念ながらその後はペースダウンし、最後は低体温症と低血糖で途中棄権という結果でした。
初マラソンの学生記録を目指したり、日本人選手のトップを目指すなら、
こうした走りはしなかったと思います。
レース後の太田選手のコメントは、オリンピックでマラソン金メダルを取るために
練習に励み、レースに挑んだとのこと。
世界トップの走りを肌で感じ、金メダルを取るためにクリアしないといけない
多くの壁、課題を感じたことでしょう。
ですが、完走を目指すような安全な走りではなく、本気で世界一を目指すなら、
東京マラソンでトップの走りを見せないと到底勝負できないのは一目瞭然です。
世界のトップにはとてつもなく強く速い選手がたくさんいます。
今回は残念ながら途中棄権に終わりました。
42キロを2時間と少しで走り抜けるのは肉体的にも精神的にも厳しいものがあります。
目標から逆算して戦いに挑んだ太田選手。
今後の活躍とオリンピックでの金メダル獲得。期待したいと思います。