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星 寿美

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第194回 手強い社員の口癖が半年で変わった理由

2025/01/20

役職のないリーダー格の女性社員、紀美さん(仮名)。
口癖は、「○○さんは、上司なんだから、もっとこうするべき!」と、ことあるごとに上司に対して「べき論」を言う社員でした。

陰でも言うし、本人にも言います。
陰口だけではない、と言う部分は救われますが、逆に「私が強く○○さんに言ってあげたから、こうなった」と、自分の教育の賜物!くらいの勢い…。

確かに、紀美さんの言うことには一理あります。
そして、なんと言っても『仕事ができる!』のです。
紀美さんがいなければ現場が回らない!と言っても過言ではないほど。

会社としては、なくてはならない存在で、助かってもいる。
けれど、紀美さんの『べき論』や、きつい口調に周りは辟易していたのでした。

口癖に変化が!

そんな手強い社員、紀美さんの口癖が、たった半年で変化してきました。
口調が柔らかくなり、笑顔も多く出るようになり、他人を慮る言葉も増えてきました。

なんと言っても上司に対して「こうするべきだ!」と言うことがなくなり、「こうしたほうが、私はいいと思いますが、どうでしょう?」と、質問や相談ベースで話ができるようになったのです。

今までは「こうするべきだ!」と言う、自分の正しさ一辺倒だった紀美さんでしたが、対話ができるようになってきたんです。
すると、相手の意見も聴けるようになるので、視野も広がり、お互いによりよくしていける対話が深まるようになりました!

どうして変化したのか?

最初は、定期的に紀美さんの話をよく聴きました。
否定をせずに、労いの言葉とともに聞き続けていると、『べき論』に対して、同意を求められるようになります。

「ね、星さんもそう思うでしょ?」

人は、話を聞いてくれて認めてくれる人が好きなので、ある程度は関係性ができてきている頃です。

その同意を求められたときに「確かに。それも一理ありますよね!全部じゃないかもしれませんが理解できます。」と、言葉を受け取ってから。

「もしかしたら、相手には相手の背景や想いもあるかもしれないですね。それがなんなのか、ぜひ知りたいと私は思っています。それで・・・、紀美さんは、どんな職場になればハッピーですか?」

相手を変えようとする視点から、自分がいる場所がどうなったら、自分にとって幸せなのか?という視点が変わる質問をしました。

この繰り返しです。
誰かを、自分の正しさで変えようとしても、それは無理難題。かといって、それは違いますよと言ってもこじれてしまう。

だから、
①話を否定せずに労いながら聴く。
②同意を求められたときに、一旦受け取ってから、自分が知りたいことを伝える。
③べき論から、その人にとっての幸せが何かを明確にしていく。
④その人にとっての幸せが明確になってきたら、そうなるためにどうしたらいいのか?そうなるために相手のことをもっと知りたいと思ってくるような対話を深める。
⑤1回2回では変化なし。紀美さん自身が、誰かを変えようとする意識ではなく、『自分がどうしたいのか?』と言う自分を深める習慣をつけていく。

自分を尊重した分だけ、人を尊重できる!

紀美さんが自分の内面と対話を深めた分だけ、相手のことも尊重できるようになっていきました。
自分を尊重した分だけ人を尊重できるんです。
だから私も紀美さんを変えようとせずに、紀美さんが自分自身との対話を深められるようなサポートをしました。
その結果、半年も経たないうちに、手強い社員だった紀美さんの口癖や、立ち居振る舞いが変化していったのです。

元々、仕事ができる社員なので、本当になくてはならない、良いリーダーに育っていきました。

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