第10回 経営者の器とは?
2021/06/20
よく『経営者の器以上に会社は大きくならない!』って聞きますよね?
では『器』ってなんでしょう?パッと答えられますか?
私は人財育成コンサルタントとして、この10年間、たくさんの経営者の方にお会いしました。
その体験から、この言葉を深く実感しています。
その実感を言葉で表現してみます。
経営者の器とは『人を受容する懐の大きさ』と『ビジョンを思い描く強さ』の2本だてだと私は感じています。
例えば、
「あいつは、○○だからだめだ!」「そんなアイデアはだめだ!」とダメ出しばかりしている経営者と。
「○○なところもあるけれど、それ以上に☆☆という才能があるから、そこを伸ばそう!」
「そのアイデアだけでは使えないけれど、どうしてそのアイデアが生まれたのか?別の角度からみたらどうか、深堀してみよう!」
など、事実は受け入れつつ相手を認めて伸ばそうとする経営者。
どちらの部下が成長しそうでしょうか?
また、ただ売上目標を提示してノルマやご褒美で部下を動かそうとしている経営者と、ビジョンを語り、部下がそこの共感し喜んで動くのと。
どちらの組織が成長しそうでしょうか?
いかがですか?
これらは、ほんの一例ですが。
経営者の器とは『人を受容する懐の大きさ』と『ビジョンを思い描く強さ』の2本だてだなぁと、私は現場で深く実感しているのです。
では、そんな『経営者の器』はどうやって育てればいいでしょうか?
『経営者の器』を広げる方法
『器』は、大きくしようと思って、大きくなるわけではありません。
また、勉強して育つものではないのです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
『人を受容する懐の大きさ』の育て方
『日々起こる、人との関係性の中で磨くこと。』そこにつきます。
それは、目の前の相手を『ありのまま受容する』ことを心がけることです。
実は、自分の中にある正しさで相手を判断していると、間違えることがとても多いもの。
自分の中にある正しさは自分の『思考の枠』の中で起こっていることだから。
例えば、ある社員に対して、どんなに『ダメだ!』と見えていても、いつでも「自分のフィルターを通してみれば、ダメだと見えているだけだ。」という意識が必要です。
その『ダメだ!』と見えるフィルターから見えるままに、世界を見てしまうと、どんどんその世界が現実になります。
その『ダメだ!』という証拠集めを無意識にし始めるからです。
よく、刑事ドラマなどで、状況証拠が完全に『黒』だと、もう犯人にしか見えない!という場面がありますよね?
最後に真犯人がわかり、状況証拠の『黒』が実は、全く違う理由だったと種明かしされます。
それに似ていることが、日常ではよく行われています。フィルターを通じて世界を見ていることに無意識だと状況証拠で『ダメなやつ』にしか見えない、ってことが起こります。
さらに、人は無意識で相手の期待に応えようとする部分を持っているので『ダメなやつ』という期待に応えようとする無意識が働いて、本当にどんどん『ダメなやつ』に育っていくという面もあります。
逆に、部下が『ダメな状態の時期』だったとしても、心から「素晴らしい人間なんだ!」と信じて接すると、どんどん素晴らしさが開花します。
余談になりますが、私は独身の頃の10年間、保育士、学童保育指導員をしていました。
その時に出会った、のべ500人の子どもたちを思い出しても、まさにそうです!
ダメな部分ではなく、良い部分にフォーカスして尊重し続けると、良い部分が育ちます。
それは大人だって同じです。
その関係は2人で作っている
また、どんな関係も、その関係は2人で作っています。
例えば、同じ自分なのにもかかわらず「Aさんの前では自分らしく居られるけれど、Bさんの前ではどうも、自分を出しづらいんだよね。」というような感覚ありませんか?
人って、お互いに影響しあって、自分の出す面もお互いに自動調整しています。
『ダメだ!』っていうフィルターを持っているから、そこに自動調整してダメな部分を出しているだけかもしれないのです。
そして『相手をありのまま受容する。』ことを心がければ、相手が変わっていきます。
だから、いつもフィルターを通して世界を見ている、ということに意識的であることが大事です。
このように、日々起こる、人間関係の中で『ありのままを受容する』修行をすることで『器』は大きくなっていきます。逆にそれ以外の修行法はないと思います。
日々起こること、それこそが最高の学びなのです。
そして、もう一つ『ビジョンを思い描く強さ』はどう育てましょうか?
『ビジョンを思い描く強さ』の育て方
こんな会社にしたい!こんな社会を目指している!なんでも良いのですが、そのビジョンは経営者だから描けます。
会社を経営することで、どんなことを実現したいのでしょうか?
それを、お題目や言葉だけではなく、心から感じ思い描いている、その経営者の言葉は人に影響を与えます。
それ以外の能力。
例えば、組織を動かすのが苦手な方は、得意な人をリーダーにすれば良いのです。
資金繰りなどお金回りが苦手な方は得意な人をリーダーにすれば良いのです。
経営者にしかできないことは、ビジョンを思い描き、それを言語化して伝え続けることです。
まとめ
だから、経営者の器って『人を受容する懐の大きさ』と『ビジョンを思い描く強さ』の2本だてだと私は感じています。
それは、日々、日常で起こる人間関係の中で「ありのままを受容する」ことを心がけること。そしてお題目ではなく、経営を通じて、心から実現したことを言葉にして伝えること。
これを日々、実践することで経営者の器は広がります。
かくゆう私も、もちろん、まだまだ修行の身。『日々起こる、人の間のこと』という、この面白すぎる修行を死ぬまで続けます!