毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの180回目では、「天道はつねに善人に与(くみ)す」を検討してきました。 老子は言います。
「天道にはえこひいきがない。つねに徳ある者にさいわいする」と。
「わが桃源郷」とは何か
今回は老子の言葉「わが桃源郷」の意味をご一緒に考えてみましょう。
老子が理想としている国とはどのようなものでしょうか。
老子の考える理想の国家
老子はこの章で、次のように「わが桃源郷」つまり、老子の理想の国家像を伝えています。
以下、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」からそのまま引用させていただきます。
「国は小さく、人口は少ない。たとい人並すぐれた人材がいようとも、腕をふるう余地すらない。住民はすべて生命を大切にして、遠くへ足を伸ばさない。舟にも車にも乗る必要がないし、武器も使い道がない。文字を書いたり読んだりするこざかしさを忘れて、ひたすら現在のままの衣食住に満足し、生活を楽しんでいる。手の届きそうなすぐ隣の国とも、絶えて往来しない。これが、私の理想郷である」とあります。
自職場を桃源郷にするコツ
「そのようなコツがあれば教えて欲しい」という言葉が返ってきそうです。
筆者はコンサルタントとしてここ33年間余り、さまざまな企業の経営者、管理者、社員、また自治体職員の皆様のご相談をお聴きしてきました。
直接的な解決に結びつく案が出せた場合と、ともに悩むことで終わっている場合があります。
そすした体験から学んだことは、どの組織にも固有の悩みがあるものの、それを超えるような素晴らしいビジョンやそれを達成るためのミッションがあります。
それに集中して誠実な、よい仕事をしていれば、いつか問題は解決し、ビジョンが達成できる、あるいはビジョンに近づくことができる、ということです。
私たちは自分の置かれた立場で何ができるかを考え、するべきことに集中することではじめて職場を私たち一人ひとりの桃源郷にすることができるのではないでしょうか。
本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。
「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。
また、引用させていただきました。
心から感謝します。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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