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益田 和久

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第194回 キャッシュレス払い

2024/11/21

毎年11月に三重県の地方銀行からお仕事をいただいており、県庁所在地である津市に2日ほど滞在します。
三重県はいくつかの都市(伊勢、志摩、松阪、四日市、鳥羽)が全国的な知名度を誇っていて、県庁所在地の津市より有名という変わった県です。(三重県の人、失礼があったらお詫びします)
「津に行ってきた」というと「あの琵琶湖のところね」と聞き返されることも時々あります(滋賀県大津市ですね)

それはともかく、せっかく津まできているので、お休みをとって伊勢神宮に行くようにしています。
いわゆるお伊勢参りですね。
今回も行ってきました。
お伊勢参りに行かれた方はご存じかと思いますが、基本的な順路は一応決まっています。
二見浦(海岸にある神社)で禊をして身を清め、外宮→内宮の順番で参拝して、最後のお楽しみとして”おかげ横丁”で食べ歩き、おみやげ購入”というパターンが一般的かと思います。
この”おかげ横丁”でちょっとしたストレスのかかる場面に遭遇しました。
それは現金払いです。
お土産屋さんや座席のある飲食店などはカード決済ができるのですが、ビールや揚げ物、お菓子のテイクアウト、いわゆる「買い食いして歩きながら食べるようなもの」のお店が、現金払いが大半だったのです。
昨年の夏に訪れた宮島(広島)はほとんどの店が現金払いだったので、それよりはまだいいかもしれませんが「今どき現金払いなんて」「観光地で外人も多いのに」と思った人は多いのではないかなと。
ちなみに前出の二見浦は無人駅なのですが、行きも帰りも現金払い。公共交通機関がこんな感じなので、商店街がそんな感じでも違和感も、またトラブルもクレームもないのかもしれません。
にしても観光立国を目指すなら、もっとこのあたりを改善すべきではないかなぁと感じました。

観光地でキャッシュレス払いが進んでいない話は時耳にしますが、その背景(理由)は以下のようなことが考えられます。

①導入コスト:専用端末やネットワーク回線についての初期導入費用や維持費が、小規模店舗にとっては負担が大きい。
②決済手数料:クレジットカードや電子マネーは決済手数料が、小規模店舗の利益を圧迫する
③現金の利便性:高齢者が多く訪れる地方の観光地では現金の方が使いやすいと感じる人が多い。

この点については、事業者目線ではなく、お客さま目線で考えていかないと変わらないかもしれません。
そして持続可能という目線も必要。
お客さまの購買スタイル(行動)が変化しているので、そこにアジャストしないと、テレビCMでもあるように「現金のみです」「じゃあいいです」と言われるのも時間の問題のような気がします。
お店側もキャッシュレスに完全に反対しているわけではないのでしょうが、先述した背景にあるように、参入障壁が決して低いわけでもありません。
故に行政や金融機関が中心となって支援していくことが必要ではないでしょうか。

少子高齢化、労働人口の減少、格差の広がり、AIとの共生等、様々な社会の課題がありますが、デジタル化の推進は中小零細こそ最優先で取り組む事項であることを、旅先で感じた今日この頃です。