第151回 たった一人の勇気が社会を変えるって本当?
2024/03/25
先日、企業研修(自走組織育成)でお話ししたら反響が良かったので、こちらでもシェアします。
例え話からの教訓ってありますよね。
それって、果たして本当なのでしょうか?
という観点から・・・・
こんな例え話があります。
水族館でのイワシのショー。
大群であっち行ったりこっち行ったり、群れになって、泳ぐあのイワシです。
そのイワシで実験しました。
こっちに餌をあげると、餌に誘導されて、イワシの群れがビューっと移動する。
で、逆サイドで餌をあげると、群れがビューっと移動するってショーです。
イワシは群れで動いているんですね。
ある時、水槽の真ん中にガラスの壁を入れます。
ガラスの壁。
水中から見ると何もないように見える。
で、同じように餌をあげました。
そうすると、イワシたち「あっちに餌あるぞ!みんな行けー」ってなって行くんですけれど、そこにガラスの壁があるから行けずに、頭がガシャガシャってぶつかるわけです。
それを、何度も何度も繰り返していると、何が起こるかというと・・・。
そのガラスの壁を外して、餌をあげても、もう食べに行かなくなっちゃう。
で、何が起こるかというと、食べに行かなくなって、そのうち餓死してしまう。
そんな悲しいイワシなんですけれど、そのイワシを餓死させないようにするためには、どうしたらいいと思います?と参加者に質問をします。
ここでそれぞれに考えてもらうことが重要、そして出てきたアイデアは全て正解!何が出てもOKです。
一旦考えてもらうという意図だから・・・その後に、
「今、言ってくれたアイデアは、全部正解ですが、ここでの実験はこうです!」と。
新しいイワシを一匹入れるんです。
そのイワシはガラスの壁の経験がないので、餌をあげると、ば〜っと食べに行きます。
すると、なんだ、あそこの餌食べられるじゃん、ガラスなんてないじゃん、って言って、みんなも食べにいくようになります。
この話を元に。
たった一人の人の行動が、社会とか組織がコロって変わることもあるから、あなた一人の行動が無限大なんだ!などと、例話を元に教訓にする場合があります。
「だけど・・・どう?みんなそう思う?」
リアルな話をすると、人間はそうはいかないんですよね。
言葉があるから。
何が起こるかっていうと、
そこに壁があることを知らない、新しい新人を一人投入するとします。
その一人の新人は、あそこにご飯があるって食べにいく。
そうすると何が起こるかっていうと・・・
周りにいる人たちが、
「お前一人だけ、いいかっこするなよ。」
「ここじゃ、そういうふうになってないんだよ。」
「何、一人偉そうなことしてんだよ。」
例えば、そんなふうに言われちゃいます。
人間の世界は・・・
そうすると、何が起こるかっていうと。
あそこに餌があるってわかっていても、みんなの顔色を伺って、その人は餌を食べに行かないし、そのチームは餌を食べにいかない。
こうやって、ダメな組織はいつまでたってもダメなわけ。
「一般的には、これが現実だと思うんですが、みんなはどうだろう?」と、ここでまた問いかけました。
結局、これ。
知識の注入ではマインドセットって変わりづらい。
だから、研修とかセミナーとか本を読んで、知識を注入してもマインドセットは変わらない。
周囲との関係性や、経験を通じて、体験の再定義ができてこそ、マインドセットって変わる。
だから、いくら、関係性の質がだいじ、とか。
報連相が大事って、知識で理解できても、現場で、影響力の強い人の顔色を伺っていたり、実際に法蓮相していなかったら、変わらない。
じゃぁ、この思考の枠組みはどうしたら変えられるのか?
それは関係の質によって決まる。
ここをずっと行ったり来たり、ブレーキとアクセル同時に踏んで苦しいね、と私からは見えています。
そもそも、社員さんたちは、本当すごい!こんな素晴らしい社員さんたちはなかなかいない。
でも、そんなチャレンジャーな仲間たちが、ガラスの壁にぶち当たっているように見えます。
もう、十分頑張っている。すごい!だから・・・
一人一人が、ガラスの壁はないよって。
ありのままを受容しあって、笑い合って、気持ちのいいコミュニケーションで最高の仕事しようよ!って。
誇りを持って、仲間と一緒に、最高の仕事をしようよって!
それが今、必要なことなのかなって私は思うのですが、みなさんはいかがでしょうか?
という問いかけをして、ここから対話で深めていきました。
もちろん、たった一人の勇気や行動が社会を変えることはあります!
でも、それよりも。
一人一人が『仕事を楽しもう』『気持ちよく働こう』『自分の仕事に誇りを持とう』『仕事だからと無理するのではなく、仕事だからこそ、よりよくしていくために、本音を伝え合える関係性を築いていこう』という意識を持つことが大事。
それをどう実践できるかを、みんなで話し合える場が大事だと私は心から実感しています。
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