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岩田 徹

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第171回 存在を認める

2024/03/22

サッカー元日本代表監督で、現在FC今治の運営会社の社長を務める岡田武史さん。
日本が初めてワールドカップに出場した当時の監督であり、
2度目の代表監督として南アフリカW杯でベスト16に導いた名勝と言われる監督です。
初めてのW杯の時は41歳。
その当時はなんとも感じていませんでしたが、
年齢を重ねて今、改めて考えると、41歳という年齢で日本代表を率い、
プレッシャーのかかるアジア予選を勝ち抜いてワールドカップに出場する。
日本全国のファンの想いだけでなく、代表を取り巻くスポンサーの方々からの期待、
サッカー協会からの期待など、いろんなものを背負って戦っておられたと考えると、
私には到底背負うことができないな、と感じてしまいます。

岡田さんはJリーグでも監督としてチームを優勝に導いた実績もあります。
その岡田さんが、日本代表とクラブチームとでマネジメントは違うのか?
という質問をされた際、根本は違わない。キーとなるポイントは同じだと話されていました。
代表でもクラブチームでも、所属する選手たちは必ず必要だから呼ばれている。
ですが、必ずしも全員が試合に出場する訳ではない。
ワールドカップに1試合も出場せずに終わる選手、
1シーズンで1度も試合に出場しない選手もいる。
そんなチームをマネジメントしていく時、大事なのは、一人一人の存在を認めること、
とおっしゃられていたのが印象的でした。

普段の練習初めのストレッチの際、一人一人に声がけをしていたそうで、
「この前の練習の時のあのシュート、よかったな。」という声がけもあれば、
「そういえばお子さん、そろそろ幼稚園だったよな。」という声がけもしていたそうです。
大事なのは、一人一人の存在を認め、監督である自分は一人一人を理解し、
気にかけているのだと伝えることがチームづくりのベースであるとのこと。
会社経営も同様で、朝出社したら単に挨拶だけをして席に着くのではなく、
何か一言でも相手を認める声がけができるかできないかで組織は大きく変わるとのこと。
会社経営もされている岡田さんならではのお話だと思いました。

人間は周囲から認められたいものです。
ましてや監督と選手、経営者と社員という関係性であればなおのこと、
認めてもらいたい、という思いはあるでしょう。
プロの世界であれば1年契約。いつクビを宣告されるかもしれない状況です。
だからこそ、きちんとあなたを見ていますよ、理解していますよ、
ここを認めているよ、今後こうなってもらいたいよ、というのを伝えていく必要がある。
日本代表を率い、世界と戦うチームづくりをしてきた方の言葉には重みがあります。
チームづくり、組織づくりの参考にしたいと思います。